The Side of 慶應義塾大学
最初のピンチは、前半12分。
自陣5mで相手ボールスクラムの機会を与えると、何度かの組み直しと何度かのペナルティで、万事休すかと思われた。
しかし、ラストチャンスでスクラムペナルティを奪い返した慶應。
原田キャプテンが、吠える。
「スクラムの間合い、ギャップが関東と関西では違った。近大は横のギャップがなく、しっかり見て欲しいと伝えたらレフリーが平等に見てくれた。そこから対応出来たと思う。(原田キャプテン)」
近大1番の紙森選手をキーマンだと認識していた。
だから3番の岡広将選手をどう助けるか、と事前にチームで話し合っていた。
前半に2度、近大11番にインゴール間際まで走られた。
しかし、その度に必ず2人以上が戻り、相手のノックオンに6番・今野勇久選手のジャッカルでピンチを凌ぐ。
思いがけないロースコアで迎えた後半。
後半3分、敵陣でのラインアウトから攻撃が繋がると、ボールを受けた6番・ 今野勇久選手が内に走り込んできた15番・山田響選手にパスを返す。
トップスピードでボールを受けた山田選手はそのまま切り込み、ポール真下に飛び込んだ。
両陣合わせて初めての、値千金のトライ。
「準備してきたプレーで獲れてよかった。やるならここだろう、と。(山田選手)」
試合中、原田キャプテンはもちろん、6番・今野選手らにも時折話し掛けにいった山田選手。
昨年には見えなかった姿に、山田選手は「FWと一番近いバックス・スクラムハーフを今季経験して、FWとのコミュニケーションを学んだ」と言う。
「FWが良いプレー・良くないプレーをしたら後ろから寄って行き声を掛けるようになった。」
昨年よりも活き活きとした表情が垣間見えた。
試合終了間際の近大PGには「入るな、と念を込めて見ていました」と笑った原田キャプテン。
祈りが通じたか、3点差を守り切って2年連続のベスト8進出を決めた。
来週は、セットプレーの強い東海大学が相手。
「プレッシャーを受けることは想定内。しっかりと準備していければ。(10番・中楠一期選手)」
7大会ぶりのベスト4を目指す。
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