吐く息も白くなった、12月中旬。
2年連続3度目の花園出場を決めた昌平高等学校(埼玉県代表)を訪れると、そこには活き活きとした表情でラグビーに取り組む選手たちの姿があった。
「最初の10分のディフェンスがめちゃくちゃ良かった、ってさ!」
週末に練習試合を行った対戦校の監督から、昌平の代名詞であるディフェンスを誉められた、と嬉しそうに話すのは、チームを率いる御代田誠監督。
目の前には、『昌平高校でラグビーをして欲しい』と直筆の手紙を書いて口説いてきた選手たちが並ぶ。
しっかりとした師弟関係があるものの、一昔前のような堅苦しさはなく。『監督』『選手』という線を引きながらも、心の距離は近い。
そんなチームの雰囲気が、昌平高校ラグビー部の一番の魅力である。
県予選決勝戦で大活躍だったCTB・笠井侃選手は、茨城県出身。親元を離れ、寮生活を送っている。
茨城には名門・茗溪学園があるが、敢えて昌平高校でラグビーすることを選んだ。
「関東は一強の地区が多い。どの学校が勝ち上がるか分からない、群雄割拠の中で花園を掴み取る経験をしたかった。」
緊張するときは、応援してくれている両親や祖父母の顔を思い浮かべる、と優しく笑う。
バイスキャプテンの西川昂辰選手は、小学6年生の頃から昌平高校で高校生たちに混じってラグビーをしてきた。
「昌平のジャージを着て花園に出ることが目標だった。」
3年生、最終学年、そしてバイスキャプテンとして、憧れのジャージをまとい花園の舞台に立つ。
プレーでチームを引っ張るのは、北川拓来キャプテン。
県予選決勝では、試合開始早々に決めた自身のトライでチームが勢いづいた。
「花園のテーマは『恩返し』。両親を花園に連れていくことが夢だったが、去年は無観客のため叶わず。今年は、ようやく見てもらえる。一試合でも多く、花園でプレーする姿を見せたい。」
初めての花園は、2回戦で東福岡と対戦。
2度目は、同じく2回戦で大阪朝鮮と体をぶつけた。
悲願の初年越しを目指す今回もまた、大会3連覇を目指す桐蔭学園と2回戦を戦うブロックに入った。
「昌平は花園でAシードと戦う運命」と笑った北川キャプテン。
でもAシードと戦う度に少しずつ点差は縮まっている、と手応えも口にする。
一方の御代田監督は、目の前の1戦1戦に向き合うことが重要だと気を引き締める。
「まずは何より1回戦の読谷戦(沖縄県代表)。初出場の読谷高校は、いかんせんデータがなく苦労している。だからこそ自分たちに矢印を当て、昌平らしいディフェンスから流れを作るラグビーで挑みたい。」
昌平高校の1回戦は、12月28日(火)14時15分。第3グラウンドでキックオフする。
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