60分の物語
長崎北陽台:青ジャージ、國學院栃木:紺ジャージ
「34年やってきて、間違いなく今日が最高の1日です。國學院栃木だけでなく、栃木県のラグビーの歴史が変わりました。」
國學院栃木・吉岡肇監督監督は試合後開口一番、目尻を下げ語った。
國栃史上初のベスト4を懸けた戦いは、序盤から一進一退の攻防が続く。
長崎北陽台陣地に攻め込む国栃。守り切る北陽台。
そんな攻防が、30分間続く。
前半唯一の得点は、國栃のペナルティゴール。
後に「あの3点が大きかった。0と3じゃ全然違う」と吉岡監督は話す。
一方の長崎北陽台も前半29分には敵陣5mまで攻め込んだ。
しかしジャッカルにあい、得点を奪うことは出来ない。
22mに入ってからの国栃ディフェンスは、今日も強固だった。
0-3で迎えたハーフタイム。
國栃・吉岡監督は「北陽台も苦しいはずだ、と。60分頑張らなきゃいけないのが、30分まで減ったんだから。だからあと30分頑張り切ろう」と選手たちに語り掛ける。
最後に気合いを入れ、円陣を解いた。
白石キャプテンの分まで、と奮起する4番・岡部義大選手
最初のトライは後半8分。
14番、8番と抜け陣地を大きく広げると、一度は外に振ったボールを内に返した所走り込んだ國栃10番・伊藤龍之介選手が相手を交わしながらグラウンディング。
10点にリードを広げた。
北陽台の反撃は、その7分後。
14番・亀川友哉選手がダブルタックルを受けながらの独走を見せ、最後はサポートに走り込んでいた5番・白丸智乃祐選手が押し込む。
ゴールも成功し、3点差。
「信じるぞ、大丈夫!」
「止めるぞ!」
北陽台フィフティーンからの声も、止まらない。
試合を決定付けたトライは、後半25分に訪れた。
國學院栃木が8番-10番―13番と繋ぎ、21番が短いキックパスを蹴れば、飛び込んだ4番・岡部義大選手。
右に展開すれば、最後は14番がボールを地面に着いた。
ベンチも飛び上がって喜ぶ。
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今年の國栃には、高校ジャパン候補がいない。だからこそみんなが一丸となって戦うことの出来るチーム、だと吉岡監督は話す。
「そこにきてキャプテンの負傷。チームの結束力を高めるのに、拍車がかかりました。」
國學院栃木史上初めてのベスト4を達成し、次戦は未踏の地・準決勝へ。
「うち以外は全部Aシード。歴史を塗り替えたんだから、恥じることはない。思い切り伸び伸びと戦って欲しい。(吉岡監督)」
出場叶わない白石和輝キャプテンも「どこが来てもチャレンジャー。しっかり自分たちのラグビーをぶつけていきたい。もう試合に出ることは出来ないですが、勝利に向かっていい準備をサポートしたい」と語った。
國學院栃木は1月5日14時30分から、神奈川県代表・桐蔭学園と相対する。
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***
敗れた長崎北陽台9番・川久保瑛人選手は試合後「國栃さんのディフェンスに圧倒された」と振り返った。
「モールが押せなくてユーズイットが掛かり、取り切れなかった。國栃さんをリスペクトしたい。」
北陽台で学んだことを活かすべく、次の路が始まる。
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