川越東高校
「ハドル組むぞハドル!」
決勝進出を決めた後の第一声は「肩を組もう」だった。
試合前も、ハーフタイムも、そしてトライを奪った後も許した後も。
川越東は、大きく、固く、全員で肩を組み合った。
「コロナで繋がれない分、グラウンドに来たらとにかく繋がろうよ、と。
合宿も行けない、遠征も行けない。なかなか今までのように友情を築くことも出来ない。だからこそ『肩組もうぜ』というチームになれている。(望月雅之監督)」
一つになる。
これまでの川越東とは異なるチーム像が、そこにはあった。
後半は風に苦しみ、前半抑えていたペナルティが散見されるようになった。
それでも「ゴール前まで攻められても、よくタックルしてくれたなという印象です」と望月監督は選手たちを褒め称える。
「ハンドリングをどう修正するかが決勝への課題」と前を見据えたのは、FBの土居泰介キャプテン。
怪我からの復帰戦なため、自身は思うようなプレーが出来なかったが、2シーズン前に比べたら豊かな表情でチームの中心に立つようになった。
「ムードメーカーの1番・寺山公太は1年生。自分が1年生の頃は、3年生の背中が大きすぎて全然声を出すことが出来なかったんですけど(笑)。1年生が声を出してくれると、上級生も声を出さなきゃとなるので助かっています。」
最後、トライを奪った8番・髙橋新大選手も1年生。
準々決勝で負傷し、練習を再開したのは今週木曜日。望月監督は土曜日の朝までメンバー入りを迷っていた、と話す。
「全員が一つになってスクラムを押し返すことが出来た。」
自身公式戦では2トライ目。「チームに貢献出来た、それだけで嬉しいです。」
司令塔の西ヶ谷昂バイスキャプテン「試合で勝つことも大事。だけど、そこに至るまでの練習で声を出してチームを盛り上げること。そこをしっかりやっていけば、試合での基本的なプレーにも繋がってくると思う。」
勝負を決めた、フォワード戦。
望月監督は「花園予選で昌平に負けてから、やっぱりフォワードだぞ、と。スクラム練習、モール練習をFWは一生懸命やってくれた。最後に繋がって良かった」と安堵の表情を浮かべた。
フォワードコーチにスポット練習を頼むと、3時間みっちりFW陣は鍛えられるが「彼らはそれをしっかりと『勝利のために』と前向きに捉えてくれていましたね。」
だからこそ、円陣の中で思わず出た言葉は「FWは3時間の練習の成果が良く出た。よく頑張った。」
幾ばくか目を潤ませた望月監督は、肩を組みながら選手たちに声を掛けた。
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