今年の東福岡は「ボールをもっていない時がHappy」なチーム|サニックスワールドラグビーユース交流大会2022

予選リーグ1日目の、石見智翠館戦。

前半を0-7のビハインドで折り返した東福岡の円陣では、今年を象徴する言葉が掛けられた。

「グリーン着ているんだから、痛いラグビーしようや。」

声の主は、3年生の藤井達哉選手。

グリーンとは、東福岡のファーストジャージを意味する。

選抜大会で学んだことがある。「強いチームは優しい」ということだ。

「熊谷スポーツ文化公園内のホテルに泊まったら、誰でも埼玉ワイルドナイツの練習が見られる。そんな寛容な、懐の深いことありますか。3月31日の練習試合もそうです。強い人は優しいんだ、ということを身をもって実感したから、選手たちが良い意味で丸く、優しくなりました。ただし優しいだけではいけない。強いと優しいが共存するから、魅力的なんです。」

東福岡・藤田雄一郎監督もまた、優しい眼差しで答えた。

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実は今大会前、コンディション不良者が続出し、大会登録メンバー30名のうち約半数は選抜に同行していない選手たちで構成した。例年であれば3年生+2年生でチームを編成するが、今年は2名の1年生選手も投入している。

「2日目の大分東明戦、最後インターセプトされトライを取られましたが、そのボールを放ったのが1年生でした。でも良かったと思います。実践で、公式戦で、グリーンでそんな経験が出来た。お金に変えられない経験、一生忘れることのないデビュー戦になっただろうな、と思います。」

一緒にプレーした先輩たちも、笑って「良い経験になったな」と伝えた。誰一人として攻める人はいなかった。

スクラムハーフの2人は、揃って選抜ではメンバー外。1回戦でリザーブ出場したスクラムハーフの利守晴(2年生)は、初めての公式戦だった。落ち着いて仲間とコミュニケーションを取りながらプレーする姿が印象的。最後にはスクラムからショートサイドをつきトライも決めた。

14番のウイングもまた、初の公式戦。個人技で抜き去ってチャンスメイクをし、タックルにも身を投げうった。

「フレッシャーズがここまでやってくれるとは」と、藤田監督も目を細める。


スタンドオフもまた初めてのグリーン。相手のキーマンに対しても怯まず体を当てた

そんな「初めてのグリーン」がたくさんいたから、選抜大会で主軸だった選手たちも自然と覚醒する。強い人は、優しい。

11番・上嶋友也選手はピッチの中で抜群の存在感を発揮し、声でも、そしてプレーでも文字通りチームを牽引した。

12番・西柊太郎選手はコンディション調整から復帰したばかりだというが、タックルにハイボールキャッチ、キックパスからのトライを演出するなど、ゲームメイクに一役買った。

6番・大川虎拓郎キャプテンも、幾度頭を突っ込んだだろう。ピンチの場面でジャッカルを決め、西選手からのキックパスを大外で受け取りトライを決めた。

チーム全体の底上げと経験値の向上。そして、自らが引っ張らなければならないという主軸たちの自覚。

「負けなかったこと。このメンバーたちが勝ち切ることの出来た経験は大きい。」

大分東明戦で許した2本は、ある意味仕方のないトライ。崩され奪われたトライは、石見智翠館戦で献上したラインアウトモールからの先制トライ1本だけである。

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