日本最古の大学定期戦は慶應義塾が勝利。3年ぶりの春シーズンを笑顔で締め括る|【第103回定期戦】慶應義塾大学×同志社大学|SHIZUOKA PRIDE 2022

突如降り注いだ雨も上がった午後、照り付ける日差しと湿気高い気候の中行われたのは、日本最古の大学定期戦である慶應義塾大学と同志社大学の一戦。

同志社大学ボールでキックオフを迎えると、まず攻め立てたのは慶應。

相手陣5mでのラインアウトでペナルティを得れば、クイックスタートから6番・今野勇久キャプテンが押し込みファーストトライを奪った。

前半3分に5点を先制した慶應は、その後もエリアを獲得しながら相手陣深くまで攻め込む。

しかし同志社も負けじとゴールラインを背負ったディフェンスで体を張り、ボールを奪い返す。敵陣深くまで陣地を戻すと、慶應10番・山田響選手が苦し紛れに放ったバックフリップパスを見逃さなかった同志社13番・市川亮太選手がボールを奪いインゴールに飛び込んだ。

しかしこれは、慶應のアドバンテージを見ていたためノートライに。

前半34分、敵陣22m内でジャッカルを決めたのは慶應6番・今野キャプテンだった。

頼りになるキャプテンのファイトに12番・永山淳選手選手がしっかりとペナルティゴールを沈め、3点を追加する。

前半終了間際、得点を重ねたのは慶應。

敵陣22mライン付近でラインアウトモールを形成すると、そのまま押し込み2番・中山大暉選手がボールを地面につけた。

永山選手のコンバージョンゴールも成功し、前半を15-0と慶應のリードで折り返す。


争奪戦の局面で幾度もハングリーな姿勢を見せた中山選手

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後半最初に決定機を生み出したのは同志社。

中央付近でのラックから右に展開すると、11番・芦塚仁選手が個人技で内に切り込み走り切ってトライ。

9番・藤田海元選手のコンバージョンゴールも成功し、後半4分、7点を返した。

1トライを許した後の円陣で、慶應・今野キャプテンが仲間に掛けた言葉は「全然悪くないから!ディシプリンだけ!」

適切に状況を分析し、モチベーションの上がる言葉を交えながらコミュニケーションを図ることの出来るキャプテンである。

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その後も縦に走り出した同志社は、続けざまに好機を生み出す。2度続けて、ゴール前まで迫った。

しかし、守り切ったのは慶應。

相手に流れが行ってしまいそうな局面でも落ち着いていたのは、試合前から「自分たちのラグビーが80分間出来る試合ではない」と認識していたから。

だから相手の時間帯になっても耐え、「自分たちが何をするか明確にする」ためにコミュニケーションを取り続けることが出来た。

一方、好機を仕留め切れなかったのは同志社。

梁本旺義キャプテンは振り返る。

「同志社ベーシック、というテーマがあります。ひとつひとつのプレー精度、クオリティを求めたが、前半はそれが出来なかった。後半は一つ一つのプレーを大事に出来るようになったことで、最初のトライに繋がりました。ただそれを継続しようとみんな頑張っていたと思うのですが、慶應義塾大学さんのプレッシャーに対して、セット、準備の部分で出し切れなかった。」

一喜一憂することなく、自分たちがやるべきことをプラン通りに遂行しきった慶應が、その後も3つのトライを重ね試合終わってみれば34-7。

慶應が第103回の定期戦を制した。

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慶應にとっては3年ぶりの春シーズン。

2年前は春季大会自体が中止となり、昨年は新型コロナの影響で活動することが叶わなかった。

ようやく迎えた、3年ぶりの春。同点引き分けで始まった初戦・筑波戦では、ベクトルを自分に向けず他責にすることもあった。それが「キツい時こそ自分たちに矢印を向けよう」という共通認識を持てるようになったこと、そしてコミュニケーションを取り続けれられるようになったことが、春シーズンの成長だと今野キャプテンは話す。

最終戦では勝ち切り、且つ最終盤にスコアを引き離す所までチーム力を上げることが出来たことが一番の成長だ。

それでもまだ、「目指す頂の六合目」と認識する。「慶應は夏に強くなるチーム。しっかりと山中湖に籠って、激しい練習をして、もうひと肌脱ぎたいと思います。(今野キャプテン)」

1年を通して強化メニューが組めるのも、パンデミック以降初めてのこと。

3年振りに、じっくりとチームを作り上げることが出来そうだ。

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