法政大学
試合開始早々に2連続トライを許すと、インゴールで組まれた円陣で真っ先に声を発したのは15番・石岡玲英選手だった。
「緊張からか、選手全員が1つ以上のことをやろうとしてしまっていた。大東の個の力に引いてしまっていた」と振り返る。
パワフルな外国人選手を擁する大東文化と体をぶつけたフォワード陣からは「(相手の)5番・8番ぜったい止めよう、フォワード!」と自らを鼓舞する声が掛けられた。
流れが変わり始めたのは、諦めない自分たちのプレーから。
蹴り上げたボールをチェイスし、相手がボールを持った所すかさずタックルに入れば、タッチに押し出しマイボールへ。
会場の空気が、僅かな変化を見せる。
待望の今季初トライは前半39分。
相手陣目の前で粘ると、獲得したマイボールスクラムでペナルティを得た。9番・小山田裕悟選手がすかさずNo.8・佐野祐太へボールを渡せば、そのままクイックタップからポール真下めがけて突進。拾い上げた7番・吉永昂生キャプテンが最後は押し込みトライを奪った。
ルーキー唯一の開幕戦スターティングメンバー入りを果たしたスクラムハーフの小山田裕悟選手
ペナルティでのPG選択も徹底していた。前半は1つ外してしまうが、後半は10番・熊田経道選手が合わせて4つのPGを沈める。
後半24分には、逆転のコンバージョンゴールのきっかけとなった独走トライをFB石岡選手が決めると「ありがとまじで!」と声を掛けた5番・佐々木康成選手。ベンチからも「サンキュー!」の声が響いた。
最後まで切らさず、気を抜かず、試合終了間際の猛攻を防ぎ切った法政。昨季リーグ戦6位の法政が、同3位の大東文化を破った。
「厳しかった前半に対し、後半は『走り勝つ』という今日のテーマを遂行し点数を重ねることができた」と吉永キャプテンが振り返れば、上級生となり逞しさを増した石岡選手も「後半、前に出させなかったことが勝因」と評価した。
今年のスローガンは『Beakthrough』。
試合前「初戦を勝ち切るか落とすかによって、今後チームが良い波に乗れるかどうかが決まってくると思う。チームの集大成を9月11日にぶつけたい」と語っていた吉永キャプテン。
チームの集大成で、開幕戦勝利をもぎ取った。