決勝戦は福岡県×大阪府に『とにかく60分間楽しみたい』|いちご一会とちぎ国体 ラグビー少年男子・準決勝

神奈川県(選抜)×大阪府(選抜)

6校から成るコンバインドチーム同士の対戦。しかしその構成メンバーは大きくことなっていた。

大阪府代表は、花園常連校の名が連なる。高校日本代表候補も8名が揃った。

対するオール神奈川のメンバーは、全国大会の準決勝を経験したことがない面々が大多数。

だからこそ、ひとつのチームとしてのまとまりを。神奈川県の攻撃サインは、それぞれのチームから持ち寄った。

「ラインアウトのサインは、湘南工科の子が夏合宿で國栃から点数取れたものをどうか、って提案してくれた。じゃあやってみよう、ってなったり、相模が主体なので相模や慶應義塾のサインに他の高校のサインを加えてアレンジしていったり、とサインに関してはみんなで出し合うことができました。(上村キャプテン)」

みなが自然と、必然的に「こういうのがあるよ、じゃあやってみよう」という雰囲気になったことが、2022年のオール神奈川らしさだった。

「みんなで寄せ合ったサインでトライを取れたことも、良いことだったかなと思います。」神奈川県を率いる浜倉監督は、優しい眼差しで答えた。

関東ブロック大会から続く神奈川県粘りのディフェンスで、簡単にはトライを取らせなかった。

しかし前半4つ、後半にも2つのトライを大阪府に許すと、5-42で敗戦。3位でとちぎ国体を終えた。

チームに戻れば、すぐに花園予選が始まる。

今日の仲間は、明日のライバル。

「良い仲間に会えたと思います。でも国体が終わったので、すぐに切り替えないと。ラグビーの良いところは、試合が終わったら全員仲良くできるところ。勝負になったら真っ向勝負で、友達とか関係なしで思いっ切りプレーしたいと思います。(神奈川・上村キャプテン)」

とちぎ国体の愛称は『いちご一会』。果たしてどんな一期一会があったのか。

「神奈川はコンバインドチームを編成しました。ライバルチームから選りすぐりの選手が集まって、コミュニケーションをとって仲良くなって。

一緒に辛いことをしたからこそ、最後は笑いたかったんですけど。でもそれが叶わずとも、良い想い出になったし経験値としても全国大会という大舞台を経験できたことが収穫です。

これから各チームに帰って、まずはこの経験を他のメンバーに伝えること。そして花園予選での激戦区の神奈川県大会では仲間として敵としてライバルとして、全員で頑張っていきたいと思います。」

この出会いは一期一会では終わらない。

大阪府・梶村真也監督(関西大学北陽高校)

生徒たちの話す内容を聞くと、日に日にチームとしての仕上がりを感じる。明日が最後の総仕上げ。今日の試合ではミスや反応悪かった部分、規律の乱れもみられたが、勝って良い反省ができる。

明日は最後の試合、楽しみたいと思います。

大阪府・穴澤開選手

このチームは6校から集まっているチーム。一人ひとり仲が良くて、1つの家族のような雰囲気が好き。

僕自身は関東出身。大阪とは違う文化だが、人と喋るのが得意なタイプなのでオール大阪の雰囲気にも馴染めている。決勝戦では2トライを決めたいと思います!

大阪府・松沼寛治バイスキャプテン

オール大阪ではバイスキャプテンとして携わっている。もちろん先頭に立ってみんなに訴えかけることもあるが、一歩下がって、一番冷静に落ち着いてチームを見ることができていると感じる。

それもこれも、一人ひとりが考えてモチベーション管理や試合に向けてのマインドセットは個々人がしっかりとできているからこそ。だから普段はチームに割いている時間を、自分に割けていることで、落ち着いてプレーできているのかなと思う。

キャプテンの松岡が明るいので、気持ちの部分の声掛けは任せている。僕ともう1人のバイスキャプテンの田中と2人で、戦術やチームラグビーの部分を担当している。

決勝戦の相手は福岡県。東福岡高校を主軸としているチームであり、個人的にも(東海大大阪仰星として)夏合宿で大敗しているので特別な気持ちもある。

だが何より決勝戦はこのメンバーでできる最後の試合。コンバインドチームを経験することも高校3年間なかなか無かったので、とにかく60分間楽しみたい。

その先に結果は付いてくると思うので、明日しっかり勝って優勝したいと思います。

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神奈川県・浜倉裕也監督(湘南工科大学付属高校)

ミスが多くてエリアを取れず、ゴール前の分厚いディフェンスでこちらがミスしてしまう場面も多かった。相手にやられたな、何もさせてもらえなかった、という感覚。

色々と準備してきたが、準備してきた所でのミスも多かったし、準備した所でのトライもあった。これがコンバインドチームでの難しい所だと感じた。

選手もみんな楽しんでくれていたと思う。ただ目標は日本一。悔しい3位で終わるのかなと思う。

神奈川県・上村太陽キャプテン(東海大相模)

全国大会の準決勝という大舞台を経験したことのないメンバーが集まったコンバインドチーム。

相手が大阪と強敵だったが、試合前は「全員で暴れて狂ったように戦って帰ろう」と言っていた。ただやはり緊張だったり雨だったり、そういう要因も色々と重なって全員の良いところが出せずに終わってしまったかなと思う。

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