前半17分の奇策。福岡県、笑顔の優勝。大阪府は「仲間がライバル」から「戦う相手が敵」へと変化し準優勝|いちご一会とちぎ国体 ラグビー少年男子・決勝

後半

前半最後の勢いを後半にも持ち越したのは福岡県。

14番・馬田琳平選手のラインブレイクからボールを繋ぎ、ゴール目の前でオフサイドのペナルティを得れば、9番・高木城治選手がPGを蹴り上げ8-10。

前半2分、早くも2点差に迫った。

少しずつ縦に走り込めるようになってきた福岡県。

1番・有田睦選手やFW第3列の選手らの突破から、勢いを生み出し始めた。

後半6分、敵陣深くでラインアウトの機会を得ると、ポイントを作りながら内側に寄っていく。

数フェーズ我慢した後、最後は4番・岡田薫瑠選手が相手DFを5人交わして飛び込んだ。

15-10とこの試合初めて福岡県がスコアを上回る。

岡田選手の公式戦初トライに、チームメイトも笑顔で祝福した。

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しかしその6分後、再びリードを奪い返すトライを決めるは大阪府。

ラインアウトからグラウンド横幅いっぱいに攻撃を仕掛け、ディフェンスラインを完全に崩しきる。最後は2番・髙尾良生選手が左の大外を走り切ってトライ。

福岡県の選手たちが一様に膝に手をついた姿が、ハードなアタックであったことを物語る。

13番・ファイアラガ選手のコンバージョンゴールも成功し、15-17。すぐさまポイントリーダーの座を取り返した。

まさしくシーソーゲームの様相を呈した後半。

大阪府の喜びも束の間、自陣インゴール目の前でノットロールアウェーの判定を受けるは大阪府。

迷いなくショットを選択した福岡県は、SH高木選手の右足で3点を追加した。

18-17、福岡県が後半19分に再びの逆転に成功する。

残り10分で、わずか1点差。

大阪陣から聞こえる「あと10分、バチバチで行こうぜ」の声。

体を当て、攻撃の機会をうかがう。

一方、このリードを守り切りたい福岡県。ベンチからも相手のディフェンス布陣を伝える声が響く。

後半も30分を過ぎ、残り時間を気にしながらの攻防になると、両チームのベンチからは互いの拠り所となる言葉が伝えられた。

大阪ベンチからは「大阪コネクト!楽しめ!」と届けば、敵陣深くでのディフェンスに福岡ベンチからは「バースト!」の声が響く。

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自陣インゴールでもボールをポゼッションを優先させる大阪府。

見えないプレッシャーに、堪らずペナルティは福岡県。2つ続けての反則にハーフウェイ付近まで大阪府は陣地を戻し、攻撃を繋げた。

雨の中、互いのプライドでボールを持ち、また奪い返そうと激しい接点は続く。

逆サイドに振る大阪府。しかしボールが滑ったか、福岡県のプレッシャーが上回ったか、ノックオン。ボールを手にした福岡県が大きく外にボールを放り投げれば、ノーサイドを告げる笛が吹かれた。

18-17。

ポイントリーダーが3度入れ替わる激戦を制した福岡県が、2大会連続7度目の優勝を決めた。

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