日本大学
ラグビーには、コンバージョンにおける相手側の規則として「コンバージョンが行われている間、大声を発してはならない」というルールがある。
反則をした場合、キックが成功しなかった際にはキッカーはコンバージョンをやり直し、相手側のチームはチャージが禁止される。
後半46分、この競技規則が適用された。
対東洋戦に向け、日大が掲げたテーマは『圧力』。
前半のウォーターブレイクで組まれたハドルの中でも、 平坂桃一キャプテンは「キーワードは圧力」と説いていた。
「要所要所で良い圧力は掛けられたと思っています。ただ苦しい状況下で最後勝ち切ることができなかったのは、チーム力の差。東洋大学さんに負けていたのかな、と思います。」
最も圧力を掛けるべき時間帯が、前後半ラスト10分の「日大タイム」だった。
「春の厳しいフィットネスを乗り越えたことで、走り切れるという自信を持っています。ですが今日は、入替含めセットプレーで良いコネクションを作れなかった。(平坂キャプテン)」
試合の最後、逆転のきっかけとなるトライをモールで許した。
後半46分。僅か1点のリードを守り切るべく、グラウンドに立つ15人の選手たちは必死にキックチャージへ走った。
しかし冒頭の通り、キックのやり直しが命じられる。
「キックチェイスの際に声を出してしまった。声出しは禁止なので、やり直しですと伝えられました。」
ルールを理解している選手たちは、すんなりと受け入れた。
チャージも禁止。願うことしか、できなかった。
結果は、悔しい逆転負け。流れを掴んだ時間帯もあったが、勝ち切ることはできなかった。
これで1勝3敗。大学選手権に出場可能な上位3チームに入るには、厳しい星取りである。
「大学選手権に出るためにも大切な試合だった。試合の入りから相手の雰囲気にのまれてしまい、途中上手く立て直したが最後にやられてしまった。すごく悔しいです。でもまだ試合はあるので、残りの試合も頑張っていきたいと思います。」
試合途中からプレイスキッカーを担った広瀬龍二バイスキャプテンは、涙ながらに言葉を紡いだ。