60mins ~浦和~
5点のリードで迎えた、後半のキックオフ。
浦和が蹴り上げたボールがダイレクトタッチになると、相手ボールでセンタースクラムが組まれた。
そのスクラムを思いっきり押すは浦和。
そのまま押し込み、ターンオーバー。ボールを奪い返した。
「会心のスクラムでした」とは、この試合ゲームキャプテンを担った3番・山﨑成海バイスキャプテン。
フロントローとロックの息が合った、ビッグスクラムだった。
正確なタックルが、深谷のアタックを止めた。
1人で止められなければ、2人で。
レッドカードを受け人数が1人少なくなってからも、その足が止まることはなかった。
会場中に響いた、体がぶつかり合う音。
対戦カードが決まった3ヵ月前から、「深谷をどう止めるか、だけを考えて準備してきた」という。
その120%に仕上げられた気持ちは、見る者全てに伝わった。
ノーサイドの瞬間、こぶしを挙げ、膝をつき、肩を組んで涙を流した浦和高校の選手たち。
だが、ここがゴールではない。
次戦の相手は、前年度王者・昌平。
「ここ何年も昌平さんには勝てていない。武器のキックとモール、そしてディフェンスで、昌平に挑んでいきたい。(山﨑バイスキャプテン)」
準決勝は11月12日 13:35にキックオフを迎える。
最後のノーサイド ~深谷~
先制のトライを許した、前半21分。
インゴールに集まると、それぞれが声をあげた。
ひとしきり改善点が飛び交った最後、一際大きい声で響いたのは「一回ハドル組んで黙れ」の声だった。
この試合のテーマに掲げたのは「インパクトを残す挨拶」。
試合の入りを大事にしよう、という意味だった。
だが、もちろん相手だって準備をしてきている。
狙っていた挨拶は、できなかった。
後半5分、11番・須永天万選手がトライを奪い同点に追いついたのも束の間、僅か5分後には再度逆転を許す。
武器とする、流れるようなパスワークは最後の一繋ぎが続かない。
後半22分には、野口彰太キャプテンを負傷で欠く緊急事態にも見舞われた。
キャプテンを欠くのは初めてのこと。選手たちの間にも、少なからず動揺した姿がうかがえた。
ノーサイドの瞬間まで何度もボールを持った。
何度も敵陣に入り込んだ。
だが離された7点の差を、最後まで縮めることはできなかった。
「去年、僕たちが上手く行っていたこと。そこから進化しきれなかったのかもしれない。私が勝たせられなかったことが全てです。選手たちに申し訳ない。」
山田久郎監督は、一つ一つの言葉を噛みしめた。
菅平での夏合宿にも、10月に行われた3回戦にも、昨年度の卒業生が駆け付けチームを近くで支えた。
多くのOBが、チームの練習にも顔を出す。
これからも続く、深谷高校ラグビー部の歴史。
Team彰太は、誇り高きベスト8で終わりを迎えた。
↓試合後のインタビュー動画はこちらから↓
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