60mins ~川越東~
終始、川越東らしいラグビーを展開した60分間。
身長と体重のあるFW陣がボールを持って前に出れば、素早くバックスに展開。
外で仕留め切り、トライを重ねた。
「本当はもっと手堅く体を当てていこう、というゲームプランでした。想像以上に外に回しきれたことで、前半にトライを畳み掛けることができた」とは望月雅之監督。
両ウイングで3トライを計上した。
花園初出場の2年前は、第3グラウンドで悔しい1回戦敗退。
しかも記念大会のため、1回戦は25分ハーフという通常よりも短いプレータイムだった。
今年こそは花園での勝利を。そして念願の第1グラウンドへ。
だから、合言葉は『歴史を変える』。
「花園での勝利を目指すことはブラさず、決勝に向け準備をしていきたいと思います。(望月監督)」
フルバックの土居泰介キャプテンも、勝負の一戦を前に気持ちを改める。
「決勝戦は、自分が引っ張らないと勝てない。自覚を持ってやっていきたい。」
全ては、全員で笑うために。
「高みを目指します。」
2年ぶりの花園出場を懸けた戦いは、11月19日(土)12時35分に熊谷ラグビー場でキックオフを迎える。
最後のノーサイド ~熊谷工業~
試合前、橋本大介監督は選手たちに語り掛けた。
「やっぱり、熊谷工業らしくないプレーはして欲しくない。キャリーだったらキャリーで絶対に倒れない。ディフェンスだったら一発で倒す。自信を持って、思い切ってやって欲しい。」
前半14分にPGを沈めると、ファーストトライは前半27分。
ラインアウトから攻撃を続ければ、ゴール前でペナルティを得る。そのまま1番・小林蓮選手がタップキックでスタートを切り、持ち込んでトライを奪った。
両プロップが一番のトライゲッターである、熊谷工業らしいフィニッシュだった。
準決勝を前に、1番・小林蓮選手のスパイクは両足ともに破れた。S&Cコーチの釆澤氏が補修し、履き慣れた靴でこの舞台に立った
だが相手は春の王者・川越東。
前半立て続けに4つのトライを奪われると、グラウンド内外から声が響く。
「もっと元気出そう、元気!」
「盛り上げよう、もっと!」
その声に呼応するかのうように、後半はディフェンスで粘りを見せる。
ラインアウトからゴールラインまで持ち込まれるも、ヘルドアップ。続く攻撃もペナルティ。
2本連続で守り切った。
30分間、トライラインを割らせなかった。
しかし試合終了間際、ロスタイムの後半36分に押し込まれると、選手たちはインゴールで涙を流す。
「3年間、辛いことも楽しいことも、悲しいこともあった。楽しくプレーができたし、喜びを分かち合うこともできた。充実した3年間でした。」
篠崎優元キャプテンもまた、涙で答える。
コロナ禍にスタートした高校生活。
部活動もままならない時間が続いた。
今年3年生のクラスを受け持つ橋本監督は、スタメンのうち8名の担任。そういう意味では今年の選手たちと多くの時間を過ごすこともできた、と話す。
「だから、残念です。」
この選手たちとラグビーが出来なくなることが、寂しくて残念。
夏、秋と大きな成長を遂げた選手たちに、慈愛を滲ませた。
↓試合後のインタビュー動画はこちらから↓
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