11月19日(土)、埼玉県・熊谷ラグビー場Aグラウンドで第102回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選・決勝が行われた。
3大会ぶりに人数制限なしの有観客となったこの日、秋晴れの下1,500名の観客が詰めかける。
多くの家族や友人、ラグビーファンらが見守る中、今年度の優勝校が決定した。
昌平(A1シード)×川越東(A3シード)
ディフェンスの昌平、攻撃の川越東、と矛と盾の戦いになった決勝戦。
キックオフから、互いにエリア取りを優先したキックの蹴り合いになる。
最初のチャンスをものにしたのは昌平。
敵陣22mからのラインアウトモールを押し、崩れた所展開するとフェーズを重ね、3番・植松進之輔選手が押し込む。
前半6分、先制の7点を欲しかった形で取り切った。
1番・橋口博夢キャプテン、9番・長岡太陽選手らが抱きついて喜んだ
しかしその後は互いに攻撃の芽をつぶし合う展開が続く。
前半10分には昌平が、前半27分には川越東がそれぞれPGを狙ったが外れ、7-0で前半を折り返した。
試合の入りが今季の課題となっていた昌平。
しかしこの日は前半に続き後半も、最初の10分で取り切った。
後半4分、9番・長岡選手が蹴り上げたボックスキックが川越東15番・土居泰介キャプテンの前で跳ねると、追いかけていた昌平12番・井﨑克選手がボールを胸に。
そのままインゴールまで走り抜き、7点を追加した。
川越東も何度も敵陣に迫る。
しかし、何度だってラストパスが繋ぎ切らない
14-0で迎えた後半ロスタイム。
「1本取ろう!」の声がベンチから掛かる中、最後に魅せたのは川越東11番・石本瑛選手だった。
ハーフウェイ付近でボールを持つと、昌平15人全員を置き去りにする力強さでグラウンド中央を走り抜ける。
川越東でラグビーがしたくて、川越東に入学。
未経験ながら中学3年の冬には練馬ラグビースクールで武者修行を積み、同年代のスーパープレー集を見てウイングとしてのあるべき姿を学んできた2年生が、後半38分、来年に繋がるトライを決めた。
昨年の準決勝の舞台では、タッチライン際で勝負する姿を見せた石本選手。
今年は、掴まれても倒れない力強さを身につけた。
しかし、コンバージョンキックの成功と同時に、響くはノーサイドの笛。
川越東フィフティーンはグラウンドに突っ伏し、昌平の選手たちは両手を上げ仲間に飛びついた。
14-7、昌平が3年連続4回目の埼玉県王者に立った。