2月11日に幕を開けた、2022(令和4)年度 第23回関東高等学校ラグビーフットボール新人大会。
前日に降り積もった雪の影響で、試合開始時間が1時間後ろ倒しになったものの、予定通り1回戦8試合が行われた。
準々決勝は12日10時から、アースケア敷島サッカー・ラグビー場、及び補助陸上競技場で行われる。
第1試合
桐蔭学園×専修大松戸
ファーストトライは前半2分。
桐蔭学園6番・高﨑大我選手がスコアを決めると、前後半合わせて10トライを獲得。1年生スタンドオフの丹羽雄丸選手がコンバージョンゴールを8つ沈め、55-5で勝利した。
流経大柏×農大二
50:22からトライを取り切った流経大柏。モールを始めとするFW戦で上回り、外に展開した先の強いBKが走り切れば、トライを量産。
2番・土方倖矢選手の4トライを含む、12トライを奪った流経大柏が農大二に78-0で勝利した。
第2試合
昌平×明和県央
埼玉県2位の昌平が、群馬県1位の明和県央に挑んだ一戦。
これまで試合の導入を課題としていた昌平が、幸先の良い出足を見せる。
前半4分、1年生スタンドオフ・小林利仁選手がハイボールを蹴り上げると、FBのキャプテン・横山健人選手がチップアウト。6番・塙光陽選手が作ったラックからボールを受けたNo.8増田翼選手が、そのまま走り切った。
その5分後にも13番・堀江凛選手が力強い走りでトライを奪い取り、早くも14点をリードする。
「前半の2トライが大きかった。チームとして勢いに乗ることができた」と昌平・横山キャプテンは話す。
しかし前半終了間際にはペナルティやハンドリングエラーが重なり、明和県央に勢いを与えてしまう。「いける、と思ったバックスが動き始めたら連携が崩れた」とは昌平・後藤慶悟監督談。
それでも、常にポイントで優位に進めることができた昌平。
後半18分には、この日8試合を通じて唯一となるドロップゴールを10番・小林選手が沈めるなど、点差を保ち続けた。
試合終了間際には2連続トライを許したが、ノーサイド。1点差で、明和県央から勝利を収めた。
昌平は、これが関東新人大会初勝利。
続く準々決勝、2年前の花園で0-64で敗れた相手・桐蔭学園に「前に行く気持ち(後藤監督)」で挑む。
東海大相模×川越東
埼玉県王者として、神奈川県2位・東海大相模を迎え撃った川越東。
試合は東海大相模10番・長濱堅選手(1年生)のトライからスタートする。
一方の川越東は、敵陣でペナルティを得ると2つのPGを成功させ、5-6と逆転に成功した。
だが後半28分、東海大相模8番・藤久保陸選手(1年生)にトライを許し再度のポイントリーダーは東海大相模。
12-6で前半を折り返した。
後半、ポゼッションで優位に立つは東海大相模。多くの時間、ボールを持ちながら敵陣で過ごした。
しかしディフェンスで守り切るは川越東。インゴールを背負いながらのタックルで幾度となくチャンスを阻むと、セットピースでも互角以上の戦いを見せる。東海大相模は次第に、ラインアウトを選択しないようになった。
後半15分、ワンチャンスをものにしたのは川越東だった。
12番・五十嵐舜悟選手が飛ばしパスを放ると、大外でボールを受けた15番・南雲優佑選手が右足アウトサイドで内にキックを蹴り込む。そのボールを拾い上げたのは13番・稲葉逸生選手。そのまま駆け上がり、最後は内でサポートに走り込んだ15番・南雲選手にボールを託し、トライを取り切った。
コンバージョンゴールが決まれば逆転。
しかし強風の中蹴り上げたボールは、惜しくもポストから外れてしまう。
最終スコアは12-11。辛くも1点差で勝利した東海大相模が、準々決勝へと駒を進めた。
東海大相模・三木雄介監督は「キックで敵陣に行かない。ラインアウトを捨ててしまったこと、勝負から逃げているように感じました」と選手たちに厳しい目を向ける。
「勝って反省できることが救いです。」
次戦、千葉県1位・流経大柏と相対する。
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川越東は今週、2年生が修学旅行、1年生はスキー実習と校外学習が続いた。全部員揃っての練習は、雪降る中、前日に体育館で行った1日のみ。
それでも県大会から変わらずディフェンスで粘れたこと、今年の川越東らしいトライで、昨季の神奈川王者に迫ったことは収穫だ。
ただもちろん、勝ちたかった。両キャプテンからは「負けは負け。悔しい」との声が絶えない。涙を流す選手もいた。
「まだゲームメイクが統一されていない」と話すは3番・寺山公太キャプテン。ゲインした後の動きに、乱れを感じ取る。
ゆえに嵩んだ、ブレイクダウンでのペナルティ。「接点が課題」と高尾将太キャプテンが指摘すれば、寺山キャプテンも「埼玉県内だったらもう少しジャッカルも獲れていた」と、関東・全国の強度を肌身で感じる。
3月末に行われる全国選抜大会へは、開催県枠での出場を確定させている川越東。
望月雅之監督は「誰もディフェンスでサボる選手がいないことは収穫。ただ、今日の結果には選手たちも満足していない」と、次なる舞台・選抜大会へと目を向けた。
第3試合
茗溪学園×日川
1年次から主力として活躍する茗溪学園13番・森尾大悟選手がキャプテンマークを巻いた一戦。
昨季の関東大会でもBブロック決勝で戦い、日川を相手に63-5と勝利を収めていた茗溪学園がこの日も躍動。
12番・田村優太郎選手のハットトリックを含む計9トライを奪い、59-0で茗溪学園が勝利を収めた。
山梨学院×目黒学院
前半6分、10分と続けてトライを取ったのは、東京都2位の目黒学院。
このまま目黒学院のペースで試合が進むか、と思われたが、ここから力を発揮したのは山梨学院だった。
前半20分に5番マナセ・ファーガソン選手がトライを決めると、続く27分には6番・初鹿野遥帆選手がグラウンディング。
前半を14-14の同点で折り返す。
後半、最初にトライを決めたのも山梨学院だった。自陣インゴール目前での相手アタックを守りきると、一気に敵陣へ。ラインアウトモールを押し込み、ユーズイットの声が掛かった瞬間一気に逆サイドへ展開すれば、トライを取り切った。
19-14。これが初めての県外での公式戦、そして初めてのポイントリーダーである。
テンポの良い球出しが光った9番・樋口奏選手
だが、スイッチの入った目黒学院は強かった。
ギアチェンジした圧力でインターセプトすると、3連続トライで一気に逆転。そのまま圧倒し、19-38で目黒学院が勝利を収めた。
目黒学院が今年、例年以上に力を入れているのがディフェンス。
「花園が終わってからずっと、ディフェンス練習しかしていません。ディフェンスからどれだけリズムを取れるか、というのが勝負でした。
そんな中で、後半2つはディフェンスからのトライ。山梨チャンピオンを相手に簡単にはいかなかったですが、やってきたことをしっかりと出してくれた」と竹内圭介監督は目を細める。
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「惜しい所まで行ったのに負けてしまった。悔しい」と話すは山梨学院2番・加藤賢正キャプテン。
だが「厳しい時間帯にも、自分たちで声を出して盛り上げたこと。ムードを作れたことは収穫」だと話す。
古屋勇紀監督も「花園常連校の目黒学院さんの経験値、大きさ。僕たちとは違う試合巧者な姿を感じました。そんなチームからモールでトライを取れたことは収穫。関東大会に向けて、DF力アップとFW力強化に力を入れてきたこの流れを加速させたい」と次なる舞台を見据えた。
第4試合
佐野日大×國學院久我山
前半1分に國學院久我山9番・石岡温選手がトライを取ると、前半だけで6本、後半にも11本のトライを重ね、計17トライ。
國學院久我山がこの日最多トライをマークし、唯一となる100点越えで佐野日大を圧倒した。
清真学園×國學院栃木
後半、ゴール前に迫った國學院栃木ベンチから声が飛んだ。
ゴール正面でペナルティを得た直後のことだった。
「行かないの?行けば?行こうよ!」
ラインアウトか、スクラムか。はたまたFWが持ち込むか。判断に迷っていた選手たちを、國學院栃木・吉岡肇監督は後押しした。
だが、ゴール前で守り切るは清真学園。
「清真学園さんが伝統とする魂のタックルに苦しめられた」と吉岡監督は振り返る。
「攻めあぐねてのノックオンで、リズムに乗れない。キックオフサイドにラインオフサイド、密集のオフサイドと、オフサイドの展示会のようになってしまいましたね。」
だがそれでも國學院栃木が後半ラストクオーターで4トライを畳み掛け、最終スコアは0-57。
7名の選手たちが持ち込み決めた8トライは、選手層の厚さを物語る。
「今はレギュラー争いの時期です。全員が幅広く繋げて、得点力がある」と吉岡監督が話せば、今季キャプテンを務める9番・小倉光希矢選手も「バックスの展開力が強み」とチームの長所を認識する。
そんな小倉キャプテンが今季ハーフ団を組む相手は、1年生のSO神尾樹凛選手。
昨年主将を務めたSO伊藤龍之介前キャプテンとは阿吽の呼吸が築きあげられ、「だいたいどこにいるか分かった」程の連携を見せたが、今季はまだスタートしたばかり。
「何も言わなくても、そこにいることが分かるようなハーフ団を目指したいと思います」と将来図を描く。
次なる挑戦権を手にした國學院栃木は、準々決勝で目黒学院と対戦する。
「細かい所を丁寧に。そしてみんなの気持ちを上げ、エナジーを出していきます。(小倉キャプテン)」
國栃エナジーで、アタックに磨きをかける。