慶應義塾の新主将は「求心力がある」岡広将。立正に後半ロスタイムの逆転勝ち|第12回関東大学ラグビー春季交流大会

慶應義塾大学

「最後の最後まで我慢しきって勝ち切れたことは、本当に収穫でした。」

そう話すは、就任1年目の青貫浩之監督。

試合前から「今日はタイトな試合になる」と選手たちに伝えていた、その通りの展開になった一戦を振り返った。

種蒔きの春。

注力していることは「相手よりも運動量で上回ること、相手にきちんと当たること」。

時には当たり負けするかもしれないが、「当たることから逃げない」に重きを置いてチーム作りを行う。

そんな青貫監督が「人間的な魅力がとてもある」と表現するのが、今季チームの先頭に立つ3番・岡広将キャプテン。

「求心力があるキャプテン。全員を引っ張る力がある」と信頼をおいた。

「今年一番の目標は、早慶戦での勝利。それを全員で信じること、キャプテンが全員のベクトルをそこに向けてくれることを期待しています。(青貫監督)」

一方、期待を寄せられた当の本人は、だからと言って肩肘を張らない。

「これまで3名の主将を見てきましたが、みなさん『ザ・リーダー』というプレーで引っ張るタイプの方々でした。ですが僕はあまりそういうタイプではないんです。結構みんなに頼ります。」

周りを巻き込むタイプのキャプテンになりたい、と考えている。

「僕1人で背負うのではなく、周りを巻き込みながらリーダーシップをとっていきたいと考えています。」

下級生の意見もきちんと届くよう、1・2年生から4年生部員へ、そこから自分へ、というコミュニケーションフローにも気を配る毎日だ。

チームの土台作りに勤しむ春、一番の目標とは。

「良い試合をすることで満足してしまっている現状があると感じます。試合でしか成長できないことも多いからこそ、『勝つためにはどうする』というチームカルチャーを作り上げていきます。」

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この日11番で先発したウイングは、2年生の石垣慎之介選手。

宇都宮ラグビースクールから慶應義塾志木高等学校に進学し、昨春から慶應義塾大学に進んだ。

高校2年次はスタンドオフ。3年生ではスクラムハーフを経験しながらキャプテンを担ったが、新型コロナの影響を受け最後の花園予選では悔しい辞退で高校ラグビーの幕を閉じた。

大学に進学した昨年は、怪我に泣く。2年生となったこの春、公式戦デビューを果たした。

「怪我に気を付けながら、ここまで良い準備ができていると思います」とはにかむ。

複数ポジションをこなせるからこそ、まずは自らの強みであるランを活かしたウイングで大学ラグビーにチャレンジしている。

「まだ経験も足りないですし、周りは強豪校出身者も多い。まだまだ練習が必要です。」

高校時代は、自分がボールを持って走る。それだけを考えてプレーしていた。

だが大学では、ポジショニング含めたナレッジを上げること。それを第一の課題として日々取り組んでいる。

今季、自身が定めた目標は「Aチームに定着する」こと。

「そう簡単に定着できるものではないと思います。だからしっかり練習でアピールして、11番の地位を固めていきたいです。」

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立正

後半ロスタイムに逆転負けを喫した立正。

「最後、ラストワンプレーでのミスでトライまで持っていかれてしまった」とは堀越正己監督。

前節・日本大学戦では後半13分以降に6連続トライを献上した経験から、最後の時間の戦い方に集中してトレーニングをしてきたが、一歩及ばなかった。

それでも「前回よりはすごく良くなっている」と、健闘した選手たちを讃えた。

この日、試合に出場した選手たちの半分が下級生。

昨年の主力選手の多くは4年生だったため、全部員で競争をしながら、オレンジのジャージを狙いにいく。

だから、チームキャプテンもまだ決まってはいない。

4人をリーダーに据え、「試しながら」秋に向けた試行錯誤の日々は続く。


この日ゲームキャプテンを務めたのは13番キニ・ヴェイタタ選手(写真左)

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