東福岡×天理
最初に会場が沸いたのは、天理のインターセプトだった。
東福岡が敵陣深くに攻め入ると、絶妙なタイミングでインターセプトしたのは14番・小松駿太郎 選手。
そのままおよそ80mを左端で走り抜くと、トライを決めた。前半5分、天理が7点を先制する。
対する東福岡は、ボールを持ちながらグラウンド中央で長いフェーズを重ねるが、なかなか前に出ることができない。
押してダメなら、足がある。
裏にボールを蹴り込むと、キャリーバックを誘い敵陣5mでのマイボールスクラムを獲得した。
そのスクラムから供給されたボールをしっかりと仕留めたのは、13番・村上有志選手。
10番・井上晴生選手のコンバージョンゴールも成功し、前半21分、7点を返した。
前半終了間際にはゴール前で得たペナルティでPGを選択した東福岡。
落ち着いて3点を沈めれば10-7。東福岡の3点リードで前半を折り返す。
後半も、天理の粘り強いタックル、そしてFWの力強いボールキャリーが光る。
東福岡は、インゴールを背負ってディフェンスする時間が増えた。
「ワンステップバック」
「ヒガシ、ノーペナ!」と選手たちは声を掛け合ったが、ディフェンスが寄ったその少し外を狙ってボールを動かしたのは天理。
22番・山元大暉選手が左サイドで縦に抜け、トライを決めた。
10-12。後半16分、天理が逆転に成功する。
2度目のリードを許した直後の、東福岡の円陣。
様々な声が飛んだ最後、締めたのはNo.8 高比良恭介キャプテンだった。
「ヒガシ、やること変わらんけん、焦んなよ。」
やることは変わらない。
その裏には、自分たちのラグビーを信じる強い意志がある。
「あの時間帯で変に焦って、無理なオフロードをしても自分たちのリスクが増えるだけ。どんなに点差がついても、自分たちのやるべきことをすれば負けないと分かっていたので、そこはキャプテンの自分が声を出してみんなを落ち着かせようと思っていました。(高比良キャプテン)」
だから、まずは落ち着いてボールを持っていつも通り体を当てる。
東福岡のベンチ前でペナルティを得ると、大きな歓声が沸いた。
左15m付近から選択したのは、ペナルティショット。3点でまずは逆転を、と狙ったが、ここはポールに当たって外れてしまう。
前半20分、試合時間は残り5分のことだった。
負けられない東福岡は、続く攻撃からプレーエリアを再び敵陣へ。
勝ち切りたい天理も、ベンチからいくつもの「ノーペナ」という声が重なり、声にならない声の塊となった。
2点差で天理が守りきるか、それとも東福岡が最後に決め切るか。
勝負がついたのは、後半25分。
インゴール目前に迫った東福岡がFWを当て続けると、20番・松﨑天晴選手がラックの上を越えていく。最後は17番・髙矢晨之介選手がボールを押し込んだ。
吹かれた長い笛は、東福岡のトライを告げた。
17-12。
東福岡が、ラストワンプレーで逆転勝ちを収めた。
東福岡 高比良恭介キャプテン
こういう状況でも最後勝ち切れたことは自分たちの自信になります。本当に良い経験ができたと思います。
後半だけで5つ取られたペナルティ。ここを改善しないと海外勢には勝てないので、そこを修正していきたい
天理 内田涼キャプテン
悔しい、という気持ちが止まりません。
ワールドユースに来てから試合を重ねるごとにチームの結束力は上がり、毎試合毎試合チームは繋がって、良いチームになっていることを実感しています。
残り2戦、この悔しさを糧に全部勝って、またさらにレベルアップしていきたいと思います。