長野県上田市菅平高原・サニアパークにて行われた、第10回全国高等学校7人制ラグビーフットボール大会。
大会3日目となる7月17日(月)には決勝戦が行われ、初優勝を目指した茨城県代表・茗溪学園は、準決勝で佐賀工業に敗れ3位で大会を終えた。
準決勝 vs佐賀工業
会場には、多くの仲間が駆け付けた。
ノンメンバーとなったラグビー部員だけではない。他部活に属するクラスメイトだって、直接声援を届けにやってきた。
キックオフ前から響いた、応援の声。
円陣を組み、心を一つにする。
「勝ちたい」
初の決勝進出を目指した戦いへと挑んだ。
「最高の雰囲気で試合に入れた」とは森尾大悟キャプテン。
最初に流れを掴んだのは茗溪学園だった。
前半1分、初日から絶好調だった田村優太郎選手がパスを受けると、走り切る。
5点を先制した。
続くキックオフから佐賀工業の猛攻を受けたが、ここは守り切る。
目の前には、茗溪学園の大応援団が。
「(応援の声は)ずっと届いていました」と森尾キャプテンが言う通り、選手たちにプラスのパワーが宿った。
しかし直後、森尾キャプテンが痛む。
前半4分、膝を負傷しピッチの外へ。
「本当に申し訳ない。」
悔しすぎる離脱だった。
その後佐賀工業に1トライを返されたが、前半終了間際に取り返した茗溪学園。
決めきったのは、無念のキャプテンに代わり登場した小脇煌太選手。
10-7と3点のリードで、前半を折り返した。
迎えたハーフタイム。
試合メンバーは円陣を組み、負傷した森尾キャプテンはその隣で治療を受けていた。
すると、スクラムハーフ・石黒春輝選手が円陣の中から声を掛ける。
「俺ら、やるから。信頼していてくれ。」
後を託した仲間は、強かった。
「こんなダメなキャプテンだけど、みんなマジ頑張ってくれて。有難い、って感じです。」
大粒の涙を零しながら、森尾キャプテンは仲間に感謝した。
後半は、モメンタムを奪われた。
2連続トライに、1ペナルティゴール。一気に13点を許した。
だが試合終了間際、またしても田村選手が中央で抜けると独走トライ。コンバージョンゴールも決まって、3点差。
ラストワンプレー、キックオフキャッチにすべてを賭けた。
左10m付近を狙って蹴り上げたキックオフボールは、しかし佐賀工業の懐へ。そのままタッチに出され、試合終了を迎えた。
17-20。
初めてのセブンズ優勝を目指した茗溪学園の戦いは、準決勝で幕を閉じた。
「今大会を通して、全国でもベスト4までは絶対にいける、という確信をバックスにはもちろん、フォワードにも伝えられたと思います。最後、僕たちが花園で目指しているのは全国制覇。この悔しい思いをバネにして、花園ではリベンジを。頂点を目指したいな、と思います。(森尾キャプテン)」
振り返れば大会初日。森尾キャプテンは言っていた。
「去年・一昨年は、僕1人が頑張ろうとしてしまっていた。だけど今年は、みんなを信頼して任せられるようになりました。」
声の限り応援してくれる仲間がいること。
後を託せるチームメイトがいること。
1人で行うスポーツではない、ということ。
「本当にもう、みんなのおかげです。」
だから松葉杖を両脇に1人、引き上げる森尾キャプテンのもとへ仲間も自然とやって来た。
「お疲れ!最高!」
笑顔で、最大の賛辞をもらった。
仲間を信頼するキャプテンだからこそ、仲間から信頼されるキャプテンとなった。