長野県上田市菅平高原・サニアパークにて行われた、第10回全国高等学校7人制ラグビーフットボール大会。
大会3日目となる7月17日(月)には決勝戦が行われ、2連覇を目指した前回大会王者・報徳学園は、準決勝で桐蔭学園に敗れ3位で大会を終えた。
準決勝 vs桐蔭学園
幸先の良い出足だった。
長谷川諒選手が左サイドを駆け上がると、およそ50mの独走トライ。
前半2分、5点を先制した。
その3分後にも、再び長谷川選手。
黒澤俊介選手、タウファテビタ悦幸選手、菊川迪キャプテンと繋がってゴール前に迫ると、最後は長谷川選手が押し込んだ。
10-0。
このまま報徳学園が圧倒するか、と思われた。
しかし、続くリスタートキックオフから桐蔭学園に独走のノーホイッスルトライを許すと、流れが変わる。
またしてもキックオフボールを確保されれば、連続トライを許した。
10-12。
僅か2分間の間に、一気に逆転された。
リードを奪われたまま前半を終えられない報徳学園は、ラストワンプレーで強さを発揮する。
タウファ選手が力強く持ち込み、トライ。
自身でコンバージョンゴールも成功させ、17-12。
5点分の優位性を保ち、ハーフタイムを迎えた。
後半も、肝はやはりキックオフだった。
桐蔭学園がキックオフを蹴り上げると、そのまま相手ボールに。
自陣深くでサインプレーを決められ、後半最初のトライを許した。
後半1分、17-19と再び逆転される。
負けられない報徳学園は、相手の連続ペナルティから一気に陣地を挽回する。
相手の好タックルに一度は阻まれるも、セブンズ力の高い報徳学園らしくしっかりとボールを繋ぎ切り、最後は花田柊選手がトライ。
24-19。後半3分、シーソーゲームに持ち込んだ。
試合が決まったのは、最後の2分間だった。
ハイタックルのペナルティが報徳学園にとられると、桐蔭学園はラインアウトを選択。
セットプレーからトライを取り切られると、後半6分、同点に持ち込まれた。
このまま同点で終わるか、それともどちらかが取り切って試合を決めるか。
運命のラストキックオフ。
ボールを手にしたのは、報徳学園だ。
だが、ボールは乱れる。
両チーム我先にと駆け寄ったが、先にたどり着いたのは桐蔭学園。
報徳学園も賢明にディフェンスへと走ったが、左サイドを抜けられてしまった。
ノーサイド。
24-29、逆転負けで、2連覇の夢は潰えた。
「自分たちの良さを出し、リードして折り返せた前半。だけど、自分たちのミスから失点する場面が目立ちました。だからこそ修正点は明確で、頭もクリアな状態で後半を迎えられたのですが、今度は規律が乱れ出してしまって。」
そう話したのは、菊川迪キャプテン。
自分たちで崩れてしまった、と悔やんだ。
「細かい所の積み重ねで負けました」と切り出したのは、泉光太郎ヘッドコーチ。
ベンチワークについても「もうちょっと我慢せなあかんかった所と、早めに交代してあげなあかんかった所と。申し訳なかったな、と思います」と自らに矢印を向けた。
「選手たちは物怖じせず、選抜優勝校と戦ってくれました。」
グラウンドに立った選手たちを称えた。
全国でたった1校、報徳学園だけが守り続けている記録がある。
2014年から始まったこの全国高校7人制大会において、過去9回すべてで予選プールを1位通過し、カップトーナメント進出を果たしているのだ。
これまでには桐蔭学園や佐賀工業にも予選プールで勝ち切ってきた。
その記録を今年もしっかりと引き継ぎ、来年へと繋いだことは何よりもの賞賛に値する。
ディフェンディングチャンピオン、という重圧。
全国選抜大会、全国7人制大会と優勝を果たし、花園でも準優勝。同校史上最高順位を更新し続けた、昨年度のチームを引き継ぐ難しさに、責任感。
花園決勝戦の先発メンバーに唯一の2年生として名を連ねていた菊川キャプテンは、「常に去年の結果と隣り合わせ」と誰よりも理解していた。
それゆえ。
「そんな状況をもしっかりと楽しんでいかないといけない、と思っています。(菊川キャプテン)」
迎えるは、心技体を鍛える夏。報徳学園ラグビー部らしく、全員で楽しむ。