10月に鹿児島県で行われる特別国民体育大会への出場権をかけ、8月25日からラグビーフットボール競技の関東ブロック大会が始まった。大会初日には少年男子1回戦が行われ、埼玉県代表は栃木県代表に14-33で敗れた。
試合概要
栃木県×埼玉県
栃木県ボールでキックオフを迎えると、序盤は埼玉県のハンドリングエラーが続く。なかなかボールが繋がらない。
前半5分、自陣5mで栃木県にラインアウトのチャンスを与えると、ショートサイドを走られ先制のトライを許した。
埼玉県の見せ場は、続くキックオフから訪れる。
相手ボールで組まれたファーストスクラムを、埼玉県が押した。
一度は崩れ組み直しになると、2度目のスクラムで笛は吹かれる。埼玉県がスクラムペナルティを獲得した。
一気に敵陣に入り攻撃を続ければ、5mラインアウトからモールを組み、最後はNo.8ルナ仁鼓選手(熊谷高校)が押し込む。
12番・飯塚祐真選手(深谷高校)のコンバージョンゴールも成功し、7-7と同点に戻した。
しかし前半終了前には栃木県にラインアウトモールから2トライ目を決められ、12-7と栃木県の5点リードでハーフタイムを迎えた。
反撃に出たい後半、最初に勢いを掴んだのは埼玉県だった。
ペナルティから5mラインアウトを獲得。一度モールを組んだ後にサイドアタックを仕掛ければ、最後はFL佐藤龍吾選手(慶應義塾志木高校)がトライを決めた。
12-14、この試合初めてのリードを手にする。
しかしそこからが強かった栃木県。
「負けたら終わりだぞ。練習試合じゃないからな」との言葉が栃木県・西本壮選手(國學院栃木)から掛かると、スイッチは入る。
フルバックがディフェンスを搔い潜りながらトライを決め勢いに乗ると、立て続けに2トライを重ねた。
33-14。
栃木県が、次戦へと進出した。
埼玉県が掲げたテーマは『LINK』。
絆を持って、埼玉全体で繋がろうという意図だった。
「最初は全然繋がれなかったけど、最終的にはみんなで繋がることが出来ました」と話すは、キャプテンを務めた高尾将太選手(川越東高校)。
絶妙なタイミングでのバックフリップパスに、タイミングの合ったジャッカル。異なる7つのチームから成るコンバインドチームだからこそ、繋がりを感じるプレーで勢いを得た。
一時はリードを手にしたが、しかし最後に突き放された要因を「体力で負けてしまった。ディフェンスで回り切れなくなってしまった」と振り返った。
チームを率いた小林剛監督は言う。
「埼玉は、一つの学校に戦力が集中しているわけではない。良い選手たちを集め、上手くコーチングして、彼らが持っているものを引き出せれば、これくらいの試合は出来て当たり前だと思うんです。」
小林監督が見せた手腕の一つが、WTB石本瑛選手(川越東高校)への声掛けだった。
國學院栃木との相性が良いと自認する石本選手は、事前予告通りラインブレイクにタックルにと見せ場を作った。
「成功体験があったから、得意な相手だと思っているんだろう。成功体験がなくたって、どんな相手にも常にそういう風に思えるようになればいいんじゃないか。」
オール埼玉に携わって12年目。今年で一つの区切りを迎える今、選手たちに置き土産を残した。
これからは各チームへと戻り、来月から始まる花園予選に向けしのぎを削る。
「オール埼玉では勝つことも大事ですが、もう一つの目的は埼玉県のラグビーの強化。花園に向け各校の強化が出来て、より一層楽しくラグビーができるようになったと思います。(高尾キャプテン)」
仲間との本気の勝負に挑む秋。これからは良きライバルとして、体をぶつけ合う。
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