U20日本代表・大久保HC就任会見「世界で戦う日本人らしいチームを作ることが目標」現高3からも5名程度選出へ

公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(会長:土田雅人、東京都港区)は、U20日本代表のヘッドコーチに大久保直弥氏を選出した。大久保氏のヘッドコーチ就任に伴い、9月6日(水)にはメディアブリーフィングを実施。「2027年、31年、35年のラグビーワールドカップに向けて、1人でも人材を育て鍛えていきたい」と意気込みを語った。

「私の目標は、ラグビーワールドカップ2027年、31年、そして日本が再招致を目指す2035年に向けて1人でも人材を育て鍛えていきたいということ。

残念ながら2023年のワールドラグビー U20チャンピオンシップは全敗で、来年はワールドラグビー U20トロフィーで戦うことになりましたが、目標は2024年での再昇格プラス、2025年には競争力高いチームとしてU20チャンピオンシップで戦い抜くこと。世界で戦う日本人らしいチームを作ることが目標です。そこから逆算したプランニング、2025年から逆算をしたチーム作りをしていければと思います。任期は25年のU20チャンピオンシップが一つの区切りだと思っています。」

ーーヘッドコーチを打診された時のお気持ちは
長くラグビーに関わってきたが、今まで仕事してきたカテゴリーより若いので若干びっくりした。自分自身の新たなチャレンジだと思って、いかに20歳前後の選手たちに新しい武器を持たせてあげられるか。率直にエキサイティングなオファーだったと思う。日本代表と名がつくので光栄です。

ーーこの年代の印象は
その前段階として、サントリーで一緒にプレーしていた高校日本代表の髙橋智也監督から選手一人ひとりの情報を聞いている。また今夏久しぶりに上がった菅平では、監督・コーチ陣と率直な意見交換をした。

ーーどのようなスケジュールで進めていくのか
今年のコーチ陣のフィードバックをもらったが、直前までセレクションに費やしたため、本戦に向けたチームづくりが遅れてしまったことは否めない。メインスコッドは既にある程度固まってはいるが、そこから漏れのないよう年内中にはトライアルをやりたい。年明け大学選手権終わった2月ぐらいから、チームが始動できるよう進める。

全30人のスコッドに対して、今の高校3年生たちを(2025年を見越して)5、6人は入れたいと思っている。今年U20を経験した選手たちも5人は残れる(2004年1月以降生まれの選手たちが対象なため)。今の大学1年生がメインにはなるが、その前後を絡めて選考していきたい。

また今年のU20チャンピオンシップで笛を吹いた滑川レフリーと菅平で言葉を交わしたが、トップ6のチームはリーグワンとほとんど変わらないと言っている。なので海外の同年代選手たちとの試合はもとより、リーグワンのチームをどう巻き込んで、胸を借りて試合をさせてもらえるか。できるだけより高いカテゴリーのチームと試合をすることが目標ではある。

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ーーやりたいラグビーは
今年のゲームをレビューすると、前半だけで3倍の差がつけられてしまった。すると後半は攻めるしかなくなってしまい、単調なラグビーに陥った。

単調になった要因が、前半にあると思う。その理由が、プランを遂行できなかったからなのか、準備が足りなかったからなのかは分からないが、どう相手の上をいくか。全体で意思統一して、80分後に自分たちが勝っているシナリオを突き詰めたい。

また最低限スクラムとラインアウトモールでアドバンテージをとらないと話にならない。日本人の遂行力は、どこの国と比べても高いと思っている。FW8人が、個々の寄せ集めではなく『U20FWパック』としてどう戦うか。ここがチームの一つの肝になると思う。

日本代表ではトニー・ブラウン アシスタントコーチが来てからカオスを作ろうという戦術になっているが、U20ではカオスからどう秩序を生み出すか、それが肝になると感じる。特に日本人はカオスから何かを生み出すことが苦手だと思う。

ーーコンバインドチームの難しさがある
大学・高校のコーチとの連携は絶対に外せない部分だと思っている。選手の成長サイクルを作るためにも、各学校のコーチ・監督と連携して一緒に成長サイクルを回すことが大事。

今はどこにいても、パソコン一つで繋がれる。選手自身に志があるかないか。時間が限られていることで、自分自身がストレスを感じることはないと思っている。

またサンウルブズの時にも感じたが、いかに何でも食べられるか、どこでも寝られるかはインターナショナルレベルで戦える選手に共通しているもの。ラグビースキルはもちろん大事だが、雨が降ろうが槍が降ろうが自分のパフォーマンスのベストを出せる、そういう選手が生き残る世界だと感じている。

ーー高校から日本に来た外国籍の選手はU20時点で代表資格を得ることが難しい
ある意味チャンスでもあると思う。今のラグビーのトレンドをそのまま20歳前後にやらせたからといって、上手くいくものではない。頭を使う必要がある。

なのでどう日本人の競争力を高めるか。『日本人らしさ、日本人らしい戦い』は大きなテーマであるかと思う。将来、1人でも2人でも多くの選手が日本代表として戦ってくれたら嬉しいことはない。

ーー今年はディフェンスが課題だった
キックした瞬間にDFは始まる。イメージとしては、相手にスキルを使わせてはダメ。特にトップ4、トップ6のチームはスキルがトップチームと変わらない。考える時間を与えないぐらいのハイプレッシャーを作ること、「考える時間を与えない」が大きなテーマになるかと思う。

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大久保直弥ヘッドコーチプロフィール

1975年生まれ。法政第二高校卒業後、法政大学に入学。大学からラグビーを始め、卒業後はサントリーに入社。社会人2年目に日本代表に選出され23キャップを獲得。2004年ニュージーランドにてサウスランド州代表にも選出。
引退後2010年度よりサントリーFWコーチを務めたのち、2012年度より3シーズン監督を務め、日本選手権3連覇、トップリーグ2連覇に貢献。2015年からNTTコミュニケーションズ シャイニングアークスのFWコーチを務め、2018、2019年はサンウルブズのアシスタントコーチ、2020年にはサンウルブズのヘッドコーチを務める。
2020年~2021年ヤマハ発動機ヘッドコーチ、2022年~2023年静岡ブルーレヴズアシスタントコーチを務め、2023年5月に静岡ブルーレヴズアシスタントコーチ/パフォーマンスディレクターを退任。

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