B5シード:熊谷
監督:横田典之
主将:松本賢志郎(3年、CTB)
シーズンのはじめ、横田監督は松本キャプテンに伝えた。
「チームの中で、お前が一番勝ちたがっている。だからとにかくずっと、毎日『花園に行きたい』と言っていればいい。空気を読まなくていい。」
プレーもさることながら、そのキャプテンシーを大きく買った。
「僕はふつうにしていて、そんな感じなんです。キャプテンだからといって冷静になることなく、いつも通り熱くいます」。当の本人は、当たり前だと心得る。
トライを浴びた時、最後まで追いかけた味方選手のもとに必ず駆け寄り、肩を叩くのもまた松本キャプテン。
「チームが今、こういう状況にいられるのは僕じゃなくて僕以外の選手のおかげ。仲間に恵まれている、と思いながらプレーしています。」
今年の軌跡
今季県内無敗の川越東を、これまで最も追い詰めたチームは熊谷だ。
新人戦1回戦で当たると、前半を12-0でリードする。後半は逆に19点を取られ、最終スコア12-19で終わったが、川越東とのストーリーはその後も続いた。
関東大会予選2回戦の対戦相手も、川越東。セブンズ準決勝の相手も、川越東だった(ここでは26-31と最も少ない得失点差)。
そして花園予選でも、互いに勝ち上がれば準決勝で顔を合わせる山組みに入る。
今季4度目の対戦を実現させるためにも、まずは準々決勝で立ちはだかる深谷の壁に挑む。
注目プレイヤー
ルナ仁鼓(3年、No.8)
国体予選準決勝でのこと。試合には気持ち良く勝利をしたが、挨拶を終えると真っ先に横田監督のもとへと足を運んだ。
サイドアタックを仕掛けた時の自らのプレーに、納得しなかったらしい。
「あれはコースが悪かった。別のコースを選ぶか、他の人にパスしていればトライを取れたんじゃないか?」身振り手振りを交えながら、横田監督は指導した。
横田監督のもとでラグビーがしたい、と群馬県からやってきた。絶妙なボディバランスと、取り切る嗅覚は一級品。
熊谷高校不動のNo.8として、最頂点までチームを引き上げられるか。
山口英之介(3年、LO)
埼玉県から唯一にして数年ぶりに、第49期高校日本代表1次候補に選出された山口選手。
小学生までは陸上と水泳。中学ではバスケットボール部に入り、ラグビーを始めたのは高校入学後。それも「体験入部で蹴ったプレイスキックが楽しかったから」という理由だ。
しかし185㎝の身長ゆえ、ポジションはロック。プレイスキックを蹴らないポジションになりました、と笑う。
入部当時は70㎏。今では87㎏と、17㎏の増量に成功した。「1日何食とか決めずに、とにかく食べました。」
高校日本代表候補に選ばれたからには、自分がチームの中心となって戦わないといけないという自覚が芽生えた。
春の時点では「まだまだまだまだ」と、監督評には「まだ」がいくつも並んだが、夏の締め括りとなったゲームではしっかりと存在感を発揮した。
高いワークレートで得意のタックルを見せれば、何度もボールをもらう。
伸びざる者は代表候補から漏れる厳しき世界。チームを花園に導けば、一気に扉は近づくはずだ。
今季の主な試合結果
◆新人戦
1回戦敗退
◆関東大会埼玉県予選
2回戦敗退
新人戦の再戦。20点分の成長を見せた川越東が、熊谷に勝利|第71回関東高等学校ラグビーフットボール大会 埼玉県予選・2回戦│&rugby (andrugby.com)
◆国民体育大会 埼玉県予選
優勝
◆7人制大会埼玉県予選
準決勝敗退
川越東、セブンズ初優勝。埼玉4冠まで「あとひとつ」|第10回全国高校ラグビー7人制大会 埼玉県予選│&rugby (andrugby.com)