立正大学
「タフになるゲームだと分かっていました。相手のやってくることも分かっていた。だけど自分たちが上手くいかなかったから勝てなかった、それがすごく残念です。」
試合後、ゲームキャプテンを務めたキニ・ヴェイタタ選手は目を伏せた。
今季、立正大学はキャプテンという役職に。
全国的にも、歴史的にも稀だろう。だがその分4年生それぞれ1人ひとりが、主体性をもってチームを束ねている。
一翼を担うリーダー陣の1人、清永修太郎選手(フルバック)は、キャプテン不在であっても難しさは感じていないと話す。
「選手一人ひとりが発信する機会が増えた。キャプテンを置かない、良い側面だと思います。」
試合中も全員がコミュニケーションを取り出しています、とポジティブに捉えた。
前半終了時、レフリーと話しながら引き上げた16番・井川桃大朗選手。ここでの会話が、後半のスクラム改善へと繋がった
マイボールスクラムの時、1人ノミネートされ続けたのはSH三原大河選手。スクラムハーフからのストラクチャーはもとより、サイドアタックを警戒された。
4年生の中でも、一番熱くて冷静だという三原選手。「プレーは80分通して冷静で、良い判断をしてくれます。だけどチームに対して、言うことは言う。信頼しています。(清永選手)」
スターティングメンバーに名を連ねる4年生たちが、それぞれのポジションでチームをけん引する。
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試合に先駆け、9月7日(木)には埼玉パナソニックワイルドナイツとの包括連携協定を結んだ立正大学。相互に協力し、ラグビーフットボールを通じた人材育成と学術の振興に寄与すべく、これまでの取り組みをさらに加速させるという。
埼玉パナソニックワイルドナイツの久保田剛代表は「ラグビーワールドカップ2023には(埼玉ワイルドナイツから)13名の選手が出場している。協定によって生まれる若い選手たちが、いつの日にか名を連ねてくれるのではないか。長い時間をかけて良い選手を育てていきたいし、会社としてもバックアップをしていきたい」と話せば、立正大学の寺尾英智学長も「日本のトップチームと協定を結ぶことで、大学スポーツから世界へと選手を送り出す連携ができることを嬉しく思う」と将来を見据えた。
女子カテゴリーにも多くの日本代表選手を輩出し、また地元のユース世代とも関わりの深い立正大学だからこそ、その先の未来へ。
埼玉パナソニックワイルドナイツの飯島均GMは言った。「海外のラグビー強豪国では、クラブチームを基にピラミッドが出来ている。その点で日本は特殊。高校、大学、リーグワンとそれぞれバラバラ。だから我々が、中学ラグビーから高校・大学、リーグワンのチーム、そして世界へと繋がるモデルケースとなりたい。」
数年後には日本ラグビーの新しい『一環した強化体制』が、ここ埼玉・熊谷で出来上がりそうだ。
試合後コメント
堀越正己監督
プラン通りできていたと思います。選手たちはよく頑張ってくれました。ただ、スクラムのところでレフリーとマッチングできなかったことは残念だと思っています。あとはよくディフェンスしていました。
最後トライを取られてしまったことは残念でしたが、選手たちは良くやってくれました。
キニ・ヴェイタタ ゲームキャプテン
Today was just not our day.(今日は僕たちの日ではなかった。)
キックを使う戦術でしたが、ミスもあって自分たちの流れに持ち込めませんでした。次のゲームに向けチャレンジしていきます。
清永修太郎選手
チームとしてやることは明確でした。ただFWのセットプレーを安定させる所でレフリーさんとコミュニケーションを上手く取れず、ボールを失う場面が多かった。セットプレーの大事さを痛感する試合になりました。