ベストマッチ
全国高校ラグビー埼玉県予選 準々決勝 熊谷高校×深谷高校
逆転に次ぐ逆転劇。
ラストワンプレーまでもつれたゲームになったのは、中学時代からラグビーをともにしてきた両校の選手たちだからこそ。
勝つ者も涙、負けた者も涙。
互いを讃え合うその姿に、ラグビーの神髄を見た。
めちゃくちゃ良いヤツら。心の底から応援しています|熊谷×深谷|第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選 準々決勝│&rugby (andrugby.com)
ベストチーム
川越高校
一人だけ、小学生の頃にラグビーをしたことがある選手はいる。だが、それだけ。ほとんどが初心者の選手たち、それが川越高校だ。
だが、部員数は多い。この学校を見ていると、不思議と「ラグビーをしてみようかな」という気持ちになる理由が分かる。
みんなで一生懸命。ミスをしても責める人はいない。
一緒に強くなる。一緒に高みを目指す。締める時は締め、だが広い心で大きく舵を取る監督もいる。
3回戦で敗退した後、後藤晃太キャプテンは涙ながらに言った。
「良いチームだから、弱いチームだと思われたくない。」
川越高校ラグビー部で過ごした3年間に誇りを持った。
ベストワード
「おれは強い」
慶應志木・佐藤龍吾キャプテンが、準決勝で手首にしたためた言葉だ。
紛れもなく強いキャプテン。埼玉県下一番のNo.8。それでも「こういうことしないと、正気保てないんで」と、言葉の意味を話した。
おれは強い。強い男の、強くある理由を知った。
ベストモーメント
チーム埼玉
試合を終え、保護者や友人らが待つ会場の外に出ると、涙よりも晴れやかな表情が多くみられる。
そしてそこには、既に敗退した、だがともに頂上を目指したライバルが応援に駆け付けていることもしばしば。
準々決勝で熊谷との激闘を制した深谷。熊谷高校の松本賢志郎キャプテンは、準決勝を戦う深谷の応援に訪れていた。
試合後、松本キャプテンの姿を見つけた深谷・小島悠輔部長は「ごめん、熊谷高校の分まで戦うって言ったのに」と手を差し伸べた。
松本キャプテンは、右手拳で胸を叩き「気持ちは伝わりました」と答えた。
勝者がいれば敗者がいる。それがラグビー。だからこそ、清々しい終わりもあると知った。
決勝戦を戦い終えた後には、両チームのキャプテンが抱擁を交わす。
敗れた昌平・横山健人キャプテンが手を伸ばせば、優勝した川越東・高尾将太キャプテンは「絶対勝つ」と誓った。
絶対勝つ。
埼玉の高校生で最も長くラグビーをできるチームとして、そして埼玉県35チームの代表として、全国の舞台へと向かう。
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