早稲田大学
SH宮尾昌典選手が左膝の前十字靭帯に怪我を負ったのは、春のこと。6月25日に行われた帝京大学戦、後半25分にうずくまった。
それから僅か6か月弱。手術・リハビリを経て、「予定通り」の試合復帰を果たす。
後半33分。狙っていた大学選手権に、間に合った。
復帰戦の7分間を「変な違和感もない」と振り返った宮尾選手。
大田尾竜彦監督は「パススピードに相手へのプレッシャーはさすが。心強い存在だと改めて思った」と評価した。
祝復帰。
グラウンドに立つ選手は、その『姿』で復帰を祝う。
1年生の矢崎由高選手(14番)は、宮尾選手が高校時代に使っていたヘッドキャップを着用して試合に挑んだ。
「たまたま僕が(京都成章時代の)ヘッキャを持っていたので、『被る?』って言ったら『被ろうかな』と言ったので貸しました。(宮尾選手)」
笑いながら、チームワークの良さを物語るエピソードを明かす。
ヘッドキャップを被った矢崎選手本人は「荒ぶるに向けて、宮尾昌典という選手は早稲田に必要。大切なピースが戻ってきたことは、チームにとっても僕にとっても大きい」と存在の大きさを口にした。
宮尾選手自身も「ゲーム感も少し取り戻して次の試合に臨める」と好感触を得た
次戦は、準々決勝。大阪で、関西リーグ1位の京都産業大学と対戦する。
伊藤大祐キャプテンは言った。
「勝たないと次はない。全てを懸けるエナジーを表現したい。」
左腕に記す『No.1』の文字。
勝って、大阪から帰ってくる。
法政大学
6大会ぶりに大学選手権出場を果たした法政大学。
全ての選手にとって、初めての大会。
試合前、石岡玲英キャプテンは「選手権という舞台を体感できるのは、登録メンバー23人だけ。ここに出たくても、ジャージーを着れなかった選手がいる。その想いを80分間、楽しむことで体現しよう」と仲間に伝え、挑んだ。
だが、相手は早稲田大学。
「規律にブレイクダウンの質。早稲田大学さんに勉強させてもらった、と思わざるを得ない試合でした」と、石岡キャプテンは話す。
40大会連続出場中のライバルは手強かった。
後半25分には16番・佐野祐太選手がトライを決めた。
その12分後には、11番・椎葉脩嗣選手がボールをグラウンディングする。
獲得した12点。だが、その4倍以上のスコアを奪われた。
幾度もタックルに入り、また2トライ目の起点となるキックも蹴り上げた北川拓来選手(15番)は「対早稲田、という意味ではなく、自分のプレーが全然できなかった」と悔しさを滲ませた。
石岡キャプテンは言う。
「この経験を後輩たちがどう捉えて、どう繋げてくれるか。後輩たちは実力のある選手たちばかりなので、これからが楽しみです。」
6年ぶりにたどり着いた大学選手権。清々しく、笑顔で秩父宮を後にした。