今年の色|流経大柏|いざ、花園へ 2023

12月27日に開幕する、第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会。

千葉県代表として29大会連続31回目の出場を決めた流通経済大学付属柏高等学校は、12月中旬、千葉県内で花園前最後の合宿を行っていた。

花園前最後の合宿に、シーズンを終えた大学生OBたちが参加するのが恒例行事。

この日はアタックを中心に、特にゴール前で取り切るプレーを大学生相手に何度も確認した。

意表を突いたプレーには、OBたちも「これは上手い」「やられた」と声を出す。

「戦術・戦略もそうですが、ノーシードなので最後のフィニッシュが大事になる。スコアをしっかり取っていくこと。ノーシードは、守っていても勝てません」と話すは、相亮太監督。

30日からの戦い方と、27日の戦い方は違う、と断言した。


練習終わりには、OB対現役生のミニゲームが行われた

昨年主力だった3年生が抜け、今年は入れ替わりの年。だからこそ目の前の一歩を大切にしてきた。

「今これができているから、次はこれにチャレンジしよう、と。今年の色を探しながら歩んできた1年だったな、と思います。」

先発15人のうち、3分の1ほどが下級生でもある。


今年最も伸びた選手に、相監督は西機大河選手(CTB/WTB)の名を挙げる。「取り切る部分でも、ディフェンスでも。貢献してくれています。」

今年のチームキャプテンは、「グレーが一切ない子」と相監督が信頼を寄せる須田大翔選手(HO/FL/CTB)が務める。だが相次ぐ怪我で、この3年間プレーできた時間の方が短かった。

3年間で出場した公式戦は、今年の関東大会の早稲田実業戦最後の8分間だけ。

それでも、その日の試合に入るまでの所、そしてファーストプレーを目にした下級生たちは「なんでヤマトさんがキャプテンなのか分かりました」と口にしたという。

雰囲気。そして、一発に100%を込める力。キャプテンである理由を、誰もが理解する選手であった。

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チームキャプテンとして迎える今年の花園では、選手登録はされない。

裏方に回るが、流経大柏のジャージーを着る選手たちに必ずや、熱量は伝染するはずだ。

「一生懸命やってきたことが、最後の最後に形になってきた。(相監督)」

ノーシードは100回大会以来。組み合わせの山組みも、ドラマが起きることを予感させる。

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注目選手

ゲームキャプテン・阿部煌生(CTB)

9月中旬からゲームキャプテンを務めている阿部煌生選手。

「最初は苦戦しました」と正直に話すが、今では『誰かのために』ではなく『チームのために』という考えが全員に根付いてきたと自信を持つ。

「僕だけでなく、全員が発信源になれています。」

夏の1次合宿では『個の最大化』をテーマに、1対1の強化に取り組んだ。2次合宿では、『チームワークの最大化』を掲げ練習試合を繰り返す。

試合を重ねるごとに、自分たちの強みを理解し、弱さと向き合った夏になったと振り返る。

だからこそ、今年の強みは『弱さ』だと口にする。

「自分たちは弱いと分かっているから、全員でラグビーをしないと勝てないと理解しているのが今年の特徴です。毎試合全力で取り組むからこそ得られる達成感も大きい。毎回全力だからこそ、良いレビューができることが、今年のチームの好きな所です。」

父も同校出身。32期が花園ベスト4を達成した試合を見て、流経大柏のラグビーに憧れた。

「3年間を通して、信頼関係が大切だということを学びました。辛い時こそ、その人の本性が表れる。見捨てるのではなく、チームにコネクトすることを意識してきました。もうあとは、花園でやるだけ。」

ラグビープレイヤーとして、心に留めていることがある。

『華のあるプレイヤーであること』。

そのためにはグラウンドの中で一番強くなければいけないし、観ている人が格好良いと思えるようなプレーをしなければならない。

「自分のプレーで『ラグビーってこういう華やかさもあるんだ』と思ってもらえるような選手になりたいです。」

最後の花園。

華を纏うと誓う。

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FWリーダー・野口健(2年生、No.8)

日本代表のジャージーを着た、今年の夏。

U17日本代表のキャプテンとして、初めて桜を胸にした。

そして、気付く。

「日本代表のジャージーを着るプライドがある。それと同様に、流経のジャージーを着る時も、同じようなプライドでプレーしないといけない。」

日本の代表として絶対に引いてはいけないプライドがあることを知った。

だから自分がその姿をここ流経大柏でも示すことで、周りを引き上げられる、と気付いた。

2年生ながら、今年はFWリーダーを務める。

「聞いた時にはびっくりしました。でも逆に、これは自分にとってのチャンスだ、とも思って。FWの中心選手になれる嬉しさがありました。」

つらい時こそ、声を出すこと。自分が一番動いて、一番仕事をすること。

自らの責任だと理解する。

「目標であるベスト8を超えるためには、自分がこの大会で目立たないといけないと思う。今年の高校日本代表にもつながるようなプレーを見せたいです。」

稀代のキャプテンシーを有する野口選手。

憧れであるリッチー・マコウに、近づく冬にする。

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