試合概要
第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会 1回戦
【対戦カード】
山梨学院高等学校(山梨・初出場)× 長崎南山高等学校(長崎・3大会ぶり7回目)
【日時】
2023年12月27日(水)14:50キックオフ
【場所】
花園第1グラウンド
試合結果
山梨学院 26 – 28 長崎南山
山梨学院
トライ数では上回った。
だが、勝てなかった。
シーソーゲームだった。
取られては取り返し、取っては取られ。
キックオフノックオンが続くほど、両チームのディフェンスが与えるプレッシャーは強かった。
山梨学院高校がラグビー部としての活動を再開して3年目。
昨年初夏に開催された関東大会は、山梨県が試合会場であった。
まだその頃には、関東大会にすら出場することができていなかった山梨学院。当時、会場の運営補佐にあたっていた。
通り過ぎる人全てに礼儀正しく、挨拶する姿。
丁寧に道先を案内する選手たち。
明るくて人懐っこい。どこか古き良き時代の学生スポーツを思い起こさせる選手たちだった。
あれから2年も経たずに、山梨県チャンピオンへとたどり着く。
そして迎えた、初めての花園。
相手の強力なFWにも3人がかりでタックルに入り、ゴールラインを幾度も守った。
その姿からは、誰も始動僅か3年目のチームとは思わぬまい。
自信になったのは「試合を想定したキツい練習を、いかに自分たちがやってきたか。」
そう話したのは、今年がキャプテン3年目のHO加藤賢正選手だった。
試合中、辛い場面で選手たちは声を掛け合った。
「俺たちは、相手よりもずっとキツい練習をしてきた。その練習を、ここで自信に変えよう。」
15番・篠原悠士選手のロングキックで陣地を前に運び、ゴール前では力強くも細かなパスをミスなくいくつも交わす。アドバンテージを得た瞬間にボールを外へ振り、控えしランナーがトライ。
プレイスキッカーの14番・芦澤涼介選手は、大外からでも、しっかりとコンバージョンゴールを沈めた。
練習量が推し量れるプレーの数々だった。
「最高の舞台で、最後プレーできた。山梨学院に来てよかった。」
試合後、泣き崩れた山梨学院の選手たち。だが加藤キャプテンの目に涙はなかった。
「終わっちゃったな。最後の最後までみんなとラグビーをやってこれて楽しかったな。」
清々しく、そしてどこか晴れやかな表情で、3年間のキャプテン生活を終えた。
***
後半、逆転を許す度にトライを決めたのはFB篠原選手。強烈な右足で何本もロングキックを蹴り込み、ゲームの流れを作った。
「初出場。花園でプレーできて楽しかったし、嬉しかったです。」
強化したFWを前に押し上げるキックが蹴れたことに、自信を持った。
まだ2年生。
「来年は僕たちが中心となれるように頑張っていきます。」
自らが中心となり、再びこの舞台へと戻ってくる覚悟を示した。
長崎南山
トライ数は下回りながらも、3本のPGを沈めたことで総得点を上回った長崎南山。
シーソーゲームを制した。
肝となったプレイスキッカー役であり、長崎南山のゲームリーダーを務める9番・山下蓮キャプテンは言う。
「まだチームプレーができていない。次の試合も負けている状態はあると思うので、焦らずに自分たちが練習してきたことをしっかりと出して、自分たちのペースにもっていければ勝てると思う。」
長崎県大会決勝では同点。抽選の結果、ここ花園へたどり着いた。
長崎南山には、負けられない理由がある。