「自分たちは東福岡の代表」2年連続決勝進出。佐賀工業は無念の涙「佐賀でラグビーをさせてくれて本当にありがとう」|佐賀工業 28-50 東福岡|第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会

佐賀工業

「この試合で絶対に東福岡さんに勝つ、って決めていたんですけど。東福岡さんの壁はものすごく高くて。もっとやれたかな、って思います。出し切れなかった。」

チームを率いた13番・大和哲将キャプテンは、時折言葉を詰まらせながら涙を流した。

9番・井上達木選手は今大会、左手首に『聖』と記し試合にのぞんだ。

昨年は毎回異なる四字熟語を書いていたが、ここ最後の花園では、ずっと同じ漢字一文字を選び続けている。

聖は、父の名前からとった。

父を超えるため。そして、近くにお父さんがいる、と感じるため。

「スタンドからはもちろん、近くにも父の存在を感じました。」

父は佐賀工業高校時代、3回戦敗退。優勝を託された。

「試合前、父は泣きながら送り出してくれました。そこで気合いが入った。」

目標としていた父超えは叶った。だが、優勝は果たせず「申し訳ない」と一言。

「3年間、佐賀でラグビーをさせてくれて本当にありがとう。これからも上を目指して頑張ります。」

父に感謝した。

スポンサーリンク

スタンドオフを務めたのは服部亮太選手。

「個人的にすごく成長できた3年間だった」と振り返った。
兄も佐賀工業出身。コロナ禍のため、通常の高校時代を過ごせぬ兄たちを見てきた。
今年、ようやく従来通り全ての公式戦が行われる。
セブンズでは初めての全国優勝を達成。東福岡とはクロスゲームを何度も演じた。
「全員が自信になった」と成長を実感した1年間。
「成長できたのも、先生をはじめ、みんなが支えてくれたおかげ。みんなのおかげで、自分自身ここまで成長できたかなと思う。感謝しかないです。」
言葉をつまらせた。
スポンサーリンク

東福岡

花園で成長速度を加速させる選手たちがいる。

そのうちの1人が、13番・村上有志選手。

高いワークレートで、この試合何度もゲインラインを切った。

「佐賀工業さんに勝てるよう準備をしっかりとしてきたので、良い結果が出ていると思います。」

勝因を説明した。

村上選手自身、佐賀工業には特別な思い入れがあった。

オール福岡として出場した、今年の佐賀国体。決勝戦で佐賀工業と対戦すると、自らのミスで失点を喫した。

「今日はその借りを返そう。」

奮闘ぶりは、しかとプレーに表れる。

前半3分、自らのトライでチームに流れを呼び込んだ。

スポンサーリンク

佐賀工業とは、国体含め今季これが4度目の対戦。

毎回タイトなゲームになっていただけに、1番・沢田海盛選手は試合終盤まで相手をノートライに抑えられたことに安堵した。

「昨年も花園の舞台に立った人間として、ひたむきなタックルでチームを引っ張っていくことを意識しています。」

優勝して、母に金メダルをかけてあげたい。だから決勝戦では出し切ります、と宣言した。

スポンサーリンク

No.8高比良恭介キャプテンは言う。

「目標の日本一、という所まできた。全員が日本一に向かって、同じ絵を見れている。メンバー30人だけでなく、サポートメンバー、メンバー外の応援が力になっています。選ばれた30人だけでなく、全員が日本一に向かっている。本当に良い雰囲気で、やりやすいです。」

スタンドには、メンバーに入れなかった多くの仲間が詰めかけ声援を送る。

「自分たちは東福岡の代表。しっかりと体を張って、きつい時にはスタンドを見て、力を借りよう。」

苦しい時、高比良キャプテンは仲間に声を掛けた。

残すは決勝戦、ただ一つ。

ジャージーを着る25人は、部員総数146名の代表。

全員の力で、頂上を掴み獲りにいく。

スポンサーリンク