東海大相模
前半を「ふわーっとした入りになってしまった」と振り返った三木雄介監督。「後半に入った選手たちが、頑張ろうという意思を見せてくれた」とリザーブメンバーの奮起を称えた。
昨季から主力だった選手も多い、今年の新チーム。
「キックを織り交ぜながらエリアを獲得し、強いFWを前面に出して頑張りたい」とチームの姿を描く。
翌週末には、新チーム最初の神奈川県内での順位が決定する。
「決勝で桐蔭学園さんにチャレンジする権利を与えてもらったので、まずは1回目、どちらが上か。去年の借りを返さなければいけないので、まずはそこからですね。(三木監督)」
はたして、どちらが上か。
***
東海大相模に進学した理由を尋ねると、「桐蔭学園に勝ちたかったから」と返すキャプテンがいる。
HO矢澤翼選手。
この日はコンディション調整のため試合出場叶わなかったが、ピッチサイドに佇む姿にはオーラがあった。
矢澤キャプテンについて「攻守にわたってチームに貢献し、ラグビーだけでなく勉学にも励んでいる」とは三木監督評。「みんなが選んだキャプテン」になった。(写真は別のBK選手)
神奈川県出身。
小学生の時には海老名ラグビースクール、中学からは湘央ラグビースクールに通った。
中学時代には神奈川県スクール選抜に選ばれると、桐蔭学園に進学した選手たちとともにプレー。
「その頃に勝ちたいという強い想いが出てきた」と、負けん気の源を語る。
強いチームで勝っても面白くない。どうせなら、大金星を飾って花園で暴れまわりたい。
だから、東海大相模を選びました。
そう断言した。
「今年の目標は日本一です。桐蔭学園さんが日本一になったので、桐蔭学園に勝って花園に出るには、日本一になるしかない。日本一を目指さない限りは、その壁を超えることはできません。」
キャプテンとして大事にしていることがある。チームを一つの方向に向かせること。
昨年末、系列校である東海大大阪仰星へリーダーズ研修に出向き学んだことだった。
「チーム相模。選手だけでなく、相模に関わっている全ての人の意思を統一させられるように頑張ります。」
現在の1・2年生だけで60人近い大所帯。意思統一が、今年の重要課題だと認識する。
「僕は中学時代もキャプテンでしたが、こんな大人数のチームをまとめたことはありません。難しいし、正直、苦労しています。でもやらなきゃいけないのが僕の責任。今日も雨の中の試合で戦術が上手くいかないこともありましたが、それ以上に最初はエナジーが全然なかった。新チームだからこそ声を出さなきゃいけないですし、1人ひとりが刺さっていかなければいけません。苦しい時に体を張れるプレイヤーがいなかったな、と思います。」
グラウンドの外から見るもどかしさがつきまとった。
2年前に花園に出場した時の主将・上村太陽OBの凄さを最近つくづく感じている。「僕は当時1年生で、単に『すごいな』という感心だけだった。でも今は同じキャプテンという立場になって、尊敬に変わりました。本当に尊敬しています。(矢澤キャプテン)」(写真は別のBK選手)
座右の銘は『勝って驕らず負けて腐らず』。
勝てばうまくいったことを次に活かし、負けてもくじけず頑張る。
「最近、失敗も多くて落ち込んでしまう時があります。そこで前を向かせてくれるのが、この言葉です。チームに良い影響を与えらるキャプテンで在れるよう、頑張ります。」
今週末迎える、新チーム最初の決勝戦。結末やいかに。
法政第二
セットピースで強さを誇った昨季。新チームは、FWがガラッと入れ替わった。
FWのサイズや経験値を補うのが、昨季から主軸として戦っていたバックス陣だ。
この日、ボールを持てば敵陣で攻撃を重ねる時間も多く作る。
「今日は体重でかなりの差があった。そこは本人たちも自覚していると思うので、伸びしろです」と原礁吾監督は前を向く。
中高一貫の私立高校。中学生の頃からともにラグビーに打ち込んできた生徒も多い。
「戦術理解も高いので、その戦術を遂行するためのフィジカルやコンタクトスキルをしっかりと鍛えていきたい。プレーしている自分たちが面白いラグビーをしたいな、と思っています。」
今季、法政第二のキャプテンを務めるは7番・石山潤選手。
高校入学直前にはリコーブラックラムズ東京のアカデミーに数か月通ったが、ラグビーを本格的に始めたのは高校に入ってからだという。
憧れは、オーストラリア代表のジョーダン・ペタイア。まずはフィジカルを強くしないと、と笑った