関東新人大会出場権は桐蔭学園が手に。慶應義塾は肌で感じた経験をふまえ「じっくりと強化」へ|桐蔭学園 33-0 慶應義塾|令和5年度 神奈川県高等学校ラグビーフットボール 新人大会

桐蔭学園

「まだ船を作っていない。筏(いかだ)にもなっていない。いつ作り終えるかは本人たち次第。木材を探しているんじゃないですかね。木を切る所から、廃材しかないかもしれないけど」と発したのは、藤原秀之監督。

「冒険はできないかもしれない。大海原には出れないかもしれない」と、新チーム最初のフルメンバーでの船出を厳しい言葉で締めくくった。

新チームのキャプテンは、FL申驥世選手に決まった。

1年次から試合に出場しており、またU17関東ブロック代表でもキャプテンを務めた経験を持つ。

「去年に比べたら、個々の強さがない。だから全員がチームを引っ張ろうと意識しています」と、申キャプテンは昨季の全国優勝チームとの違いを説明した。

この日のテーマは『声を出し続ける』こと。

言葉どおり、試合中には身振り手振りを交えながら、あちらこちらでコミュニケーションを取る姿が見受けられた。

だが「出せている人もいれば、出せていない人もいる」とは申キャプテン。

「まだまだ僕のリーダーシップではみんなを引っ張れていない。全員で声を出さなければ勝てない」と、現状の課題を見つめた。

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この日12番で先発出場したのは、大阪府出身の德山凌聖選手。

桐蔭学園でプレーしていた兄に憧れ、神奈川の高校へとやってきた。

徳山選手は、先の全国大会では登録メンバー入りならず。だが『育成メンバー』として花園に帯同する。

大会登録メンバーは30名。そこに入れずとも、次世代を見据えた強化メンバーとして選抜された『育成メンバー』の15人は、毎日少なくても7km、多ければ10kmを大阪で走り込んだという。

その距離、合算すればフルマラソン47.195kmをゆうに超える。

「メンバーは自分たちよりもキツい。だから自分たちも全力で応援できるように、その分キツいことをしないといけない」と花園期間中のモチベーションを語った。

そして募った「来年は絶対にこの舞台に立ちたい」という想い。

「優勝の瞬間は痺れました。だから来年は、絶対に花園に立ちたい。」

最終学年として迎える、勝負の1年が始まった。

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慶應義塾

「FWは去年のチームからガラっと変わり、経験値の足りないメンバーも多い。でも今日の結果に満足はしていません。」

そう話したのは、和田康二監督。

昨年、桐蔭学園との対戦がなかったゆえ、初めて桐蔭学園と対戦する選手も多かった。

「そういう意味でも、これからという感じです。」

キックオフの瞬間から気迫あふれるプレーを見せた。

だが一つのミス、一つのペナルティで差し込まれると連続失点を重ねる。

勢いを取り戻しきれず、そしてスコアに結び付けることまでが遠かった。

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チームの主軸となる新・3年生には、小学校から系列校で学んできた選手が多い。だから主将は、幼稚舎から慶應義塾に通うSH尾関航輔選手に託した。

和田監督は「日頃の練習から真面目に取り組めるタイプ。身体能力も高いし、強気」とキャプテンに据えた理由を話す。

ラグビーを始めたのは、幼稚園の年中。世田谷ラグビースクールでラグビーに勤しむと、中学からは慶應義塾普通部でプレー。3年次には主将を務めた。

「去年はキックを主体にゲームを組み立てていたのですが、今年は個々の能力も高い。だからアタッキングラグビーを心掛けて練習しています。」

日々の練習から一人ひとりのリーダーシップを意識する。


「チームの規律を含めた雰囲気作りを担ってくれている」とはSO小林選手談

関東新人大会への道は途絶え、また昨年度出場したサニックスワールドユースへの出場権もなくなった。

だが「だからこそじっくりと強化できる」と和田監督は前を向く。

「今日初めて桐蔭学園さんと勝負をして、先制パンチをくらいました。でも後半はスコアだけ見れば5-0。自信になったこともありますし、肌で感じたこともある。生徒にとっては、それが一番大きいと思います。」

春になれば、新1年生も加わる。

じっくりとチームを作り上げる日々が、これから始まる。

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今季バイスキャプテンを務めるは、SO小林祐貴選手。

千葉県は柏ラグビースクール出身。

進学先に慶應義塾を選んだのは「ラグビーだけの人生ではないものを」との思いから。

「古田京さんの代の花園を見ていました。桐蔭学園を倒して花園に行った姿が格好良かった。小さいころからタイガージャージーに憧れていたこともあり、慶應義塾へ進学しました。」

昨夏、U17日本代表として桜を胸に10番を背にプレー。第50期高校日本代表も目指している。

U17日本代表としての活動を経て、自信になったことがある。

得意のランは通用する、ということ。

「U17で自分の武器が何なのかはっきりと分かりました」と笑顔を見せた。

そしてこの日、大きく差を広げられた後半「自分が状況を打開しよう」と足を動かす。

桐蔭学園を相手にも「ある程度通用した」と振り返った。


ショートサイドへの切り込みで何度もチャンスを作った

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だが小林選手のポジションはスタンドオフ。ゲームコントロール力も同時に求められる。

「キックやパスのゲームコントロール、そして自分のランとのバランスが課題です。僕とハーフの(尾関)航輔でゲームを作っていかなきゃいけない。バランスが今は難しいです。」

自らのランが武器と理解できたからこそ、次はその武器をどのタイミングで繰り出すか、に意識を集中させる。

「キャプテンは航輔。だけどゲームは僕が引っ張る意識を持っています。勝ちに繋げる意識を持ってプレーしています。」

秋深まる頃には、きっとそのバランスも確立したものとなるだろう。

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