桐蔭学園
7点のビハインドで迎えた前半ノータイム。
ハーフウェー付近で攻撃権を得ていたのは、桐蔭学園だった。
だが前に出ることなく、タッチに蹴り出す。
自分たちで前半を終了させた。
「ネガティブでしたよね。もうちょっと攻めなきゃいけない。(藤原監督)」
ベンチからの指示ではなかった。
パスを繋ぐ中で生じたミス。
チャンスの場面でのノットストレート。
プレッシャーは、反則数にも表れる。
後半のペナルティー数は桐蔭学園が5、國學院栃木が1。
スローガンを『律』と掲げるチームにとって、大きな差であった。
「チャレンジしていない。ゲーム理解力にFWの差、プレーメーカーの差が出た」と藤原秀之監督は振り返った。
スクラム、ラインアウト、モール。セットプレーにも課題はみえた
藤原監督は「なんとなく、このチームのスケール感が見えてきました」と言った。
どれくらいの規模感の船で、どれくらいのノット数を出せるのか。今季の大枠が、今大会で描けた。
だからこれからは、15のポジションに揃う特性を活かしたチーム作りを行う。
そして11月までに、各人が役割を遂行できるチームへと仕上げていく。
福本剛コーチは言った。
「船出したと思ったら、沈んで修理工場に戻ってきました。でもどのチームもそうです。毎年、その繰り返し。」
毎年が盤石なチームなど、どこにもないのだ。
それはもちろん、たとえチャンピオンチームであろうとも。
全国選抜大会までに取り組むことは、学校に帰ってから選手たちと監督・コーチ陣とが話し合って決めるという
土台
「ふつうに自分たちが弱かった。國學院栃木の方が上だっただけ、自分たちの実力が低いことが表れただけです。しょうがないな、という感じです。」
今大会初出場となった6番・申驥世(しん きせ)キャプテンは、言葉少なに振り返る。
これまで見せたことのないような苦しげな表情を、この日は何度も作った。
試合前、申キャプテンは仲間に「厳しい試合になっても体を当てよう」と伝えていた。
だが、体を当てること、丁寧にサポートをすること。簡単な所で焦りは出る。
「基礎の所を飛ばしてしまいました。自分たちの覚悟が決まっていなかった。自分たちの土台がないな、と再認識しました。」
ゴールラインを背負ったディフェンスでは「トーイン、当てろよ!」と叫んだが、「シンプルに体を当てられなかった」と俯いた。
「自分たちは弱い、ということを分かっていたつもりでした。それをここで、結果として、改めて強く認識することができた。」
この経験を、良い方向に変えるしかない。
だから。
「帰ってから、自分たちにできることをもう一回確認し直します。自分たちは、体を張るだけ。土台を話し合いたいと思います。(申キャプテン)」