ラストは28フェーズ。開花したコクトチ・ディフェンス、涙の8年ぶり関東新人大会優勝|桐蔭学園 7-10 國學院栃木|令和5年度 第24回関東高等学校ラグビーフットボール新人大会 決勝

國學院栃木

コロナによる中断を挟み、3大会連続の決勝カードとなった関東新人大会。

「相手は桐蔭学園。でも『チャレンジャーとしてではなく、横綱相撲で戦え』と選手たちには声を掛けました。準決勝でナイスゲームをしましたが、当然のように決勝に進出し、相手は当然のように桐蔭学園なんだ、と。」

そう話すは吉岡肇監督。

「ハーフタイムには『上手いプレーじゃない、逃げずにがっぷり四つに組むんだ。強い方が勝つんだから、戦わないで交わしてしまったら、どっちが強いか決着がつかないだろう。戦うんだぞ』と伝えました。最後は名場面だね。ノックオン一つしない桐蔭もすごいし、オフサイドもノットロールアウェーもせずに守り切ったコクトチもすごい。あの攻防は激闘だね。」


試合後、選手一人ひとりと握手を交わした吉岡肇監督

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ロングリリースにダウンボール。

特に磨いてきたブレイクダウン周りのベーシックスキルが、正確で素早かった。

モールにスクラム、セットピースでも大きなアドバンテージを得た。

前半に1度、後半にもう1度。

勝負の場面のスクラムで、ベンチからは「ビッグスクラム!」の掛け声が掛かる。

「対戦校は一回りも二回り大きい選手が揃っていて、大きいスクラムを組みます。我々は体は小さいですが、一つになってバインディングして、スクラムは負けないんだと。小さいFWでも、スクラムは負けないんだという意思の表れです。」

勝負のスクラムで組み勝つと、FWの面々は長山時盛スクラムコーチが控えるベンチに向かって、高く拳を掲げた。

「一番大きいのは、この試合を見ていたノンメンバー含めた部員全員が、コクトチのジャージーに誇りを持てること。プライドが育ったことは、今後に活きてくると思います。」

優勝せねば、手にはできぬその誇り。

「新チームのスタートが関東チャンピオン。倒した相手は、ソックスを上げ、ジャージーをきちんとしまう、チャンピオンの風格有する桐蔭学園。勉強させてもらいました。」

そして、強度高い試合にもかかわらず、負傷者によってゲームが止まることのなかった両チームを称えた。

「日々の練習は間違ってなかったと証明できた。選抜に向けて、更に磨いていきます。」

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1月1日の悔しさ。花開いた嬉しさ

ノーサイドの瞬間、涙が溢れた。

「ディフェンスで守り切れたことがコクトチらしかった。1トライ取られて悔しくはあるのですが、でも嬉しかった。」

前週は左目を負傷。この日は右肩を痛めながらも、ピッチに立ち続けることを選んだのは4番・笹本直希キャプテンだ。

1月1日、中部大春日丘に敗れ新チームがスタートした。

悔しかった。

「あの時の悔しさを胸に、ずっと練習してきました。全国チャンピオンの『対・桐蔭学園』を掲げ取り組んできて。それが花開いて、嬉しかったです。」

悔し涙を乗り越えた今、嬉し涙を流した。

「ディフェンスはまだ完璧ではないですし、次はもっとトライを取れるようにしたい。全国選抜大会に向けて、アタックもディフェンスもさらに磨いていきます。」

試合後、ノンメンバーたちが花道を作って試合メンバーを迎え入れた。

先頭を歩いた笹本キャプテンは、はばかることなく涙を流した。

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主将が信じてくれた

後半14分。

相手のペナルティーで次なる手の判断を迫られた時、プレイスキッカーのSO神尾樹凛バイスキャプテンはスクラムを選択しようとしていた。

場所はゴールラインまで5m。角度も、そこまで鋭角ではない。

例えPGを選択したとしても、距離は十分、問題なく届く。だが、新チーム始まってからのプレイスキック成功率が低かったことが、不安材料だった。

しかし笹本キャプテンは、異なる判断を下した。

ショットコールがレフリーに伝えられる。

「やるしかない。」

主将が信じてくれた、その気持ちに応えなければ、と思った。

2つ目の大事なプレイスキックを、落ち着いて沈めた。

もちろん、目指しているのは全国優勝。まだまだ、ここでは満足はしない。

だが全国制覇のためにも、まずは乗り越えなければならなかった壁をシーズンの始めに打ち破ったことは、大きな自信となる。

「優勝したことで、次のステップに進めます。全国選抜での優勝を目指して、頑張ります。」


試合直後は楽しいと嬉しいが混ざった。「試合中も楽しかった。やっぱり勝っているゲームは楽しいです。」

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コクトチのプライド

試合を決めるターンオーバーに体を投げ出したのは、1番・牧田玲大バイスキャプテン。

横浜ラグビースクール出身。國學院栃木の、自分たちでラグビーを作る主体性に惹かれ、栃木へとやってきた。

桐蔭学園には見知った顔も多く「勝てて嬉しい」と喜ぶ。

「自分の役目は泥臭く、体を張るプレー。声を出して、みんなを奮い立たせようと思っていた」というとおり、この日何度も試合中に手を叩き、仲間を鼓舞した。

幾度もゴールラインを背負ったディフェンスに耐えた。

試合の最後は、なんと28フェーズ。

「コクトチのプライド。ゴールラインを越えられたら、コクトチではないと思っていました。」

全員が気合いで、ゴールラインを割らせなかった。

一方で、アタックシチュエーションでは取り切れないことも。

「驕らずトレーニングをしていきます。」

次なる優勝旗を、全国選抜大会で狙う。

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