目黒学院「すごいことをやったな」
試合を終えると、涙を流しながら抱擁を交わした目黒学院の選手たち。
逆転トライを決めたNo.8ロケティ・ブルースネオル選手も、もれなく大粒の涙をいくつも流した。
「東福岡はとても強いチーム。(ラストトライの時には)ノータイムだと分かっていたので、できうる限りの全力を出し切った」いう通り、何人ものディフェンダーを巻き込みながらボールをインゴールに運んだ力強さは圧巻だった。
値千金の大逆転トライ。
流した涙には、「まさか勝てるとは」という驚きの意味も含まれていたという。
最終学年になった今季、飛躍を遂げたのが4番・フィッシャー慶音選手だ。
「昨年までは対戦相手に年上の選手がいたり、体格で劣っていたりと感じる部分がありました。でも今年は、少なくとも同い年より年上の相手はいません。さすがに同い年には負けてられないな、と思って」と、急成長の要因を語る。
しなやかな身のこなしと、181cm 83kgという見た目以上の体幹の強さが、間違いなくチームの鍵となっている。
「嬉しい。まだ自分たちは上に行けるんだ、という自信を得た」と話すのは、CTB石掛諒眞キャプテン。
タックルを中心とするディフェンスを強化し挑んだこの選抜大会、「60分間の試合の中でも選手たちは成長を続けた」と喜んだ。
「試合をするうちに、自信がついてきました。」
チャレンジ精神をもってアグレッシブに戦えば、時間の経過とともに成長曲線はぐんと、あっという間に上向いた。
2回戦の相手は、奈良の白き雄・天理。
「天理さんのアタックはフラットで、東福岡さんと多少似ている所もある。今日のうちに修正できるところもあるので、みんなで話し合いたい。」
勝って兜の緒を締めよ、ごとく、石掛キャプテンはキリっと表情を引き締めた。
そんな選手たちを横目に、竹内圭介監督も落ち着いた表情で紡いだ。
「素直に、すごいことをやったな。」
ディフェンスで前に出た選手たち。
結果で目黒学院のラグビーを『進化』させた選手たちを讃えた。