3月22日(金)に埼玉県・熊谷ラグビー場で開幕した、第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会。
23日(土)には1回戦の全16試合が行われ、ベスト16が出揃った。
ベスト16校
- 札幌山の手高等学校(北海道)
19大会連続19回目 - 國學院大學栃木高等学校(栃木)
5大会連続10回目 - 桐蔭学園高等学校(神奈川)
21大会連続22回目 - 東海大学付属相模高等学校(神奈川)
2大会連続5回目 - 茗溪学園高等学校(茨城)
4大会連続15回目 - 目黒学院高等学校(東京)
11大会ぶり2回目 - 中部大学春日丘高等学校(愛知)
7大会連続14回目 - 大阪桐蔭高等学校(大阪)
2大会連続10回目 - 御所実業高校(奈良)
5大会ぶり8回目 - 常翔学園高校(大阪)
2大会連続14回目 - 京都成章高等学校(京都)
5大会連続12回目 - 東海大学付属大阪仰星高校(大阪)
2大会ぶり21回目 - 天理高等学校(奈良)
2大会ぶり11回目 - 石見智翠館高等学校(島根)
2大会ぶり11回目 - 尾道高等学校(広島)
3大会連続15回目 - 大分東明高等学校(大分)
5大会連続5回目
桐蔭学園 50-19 長崎北陽台
桐蔭学園
一人ひとりの接点で完敗した、関東新人大会での國學院栃木戦から1ヵ月。
「体づくりはもちろん、一番やり切ったのは1人が当たり2枚目のサポートがついて押し込む、というシンプルな練習です。そしてVラン(グラウンドをVの字に走る、1本が200mのランメニュー)。1ヵ月間ずっと続けてきました。」
そう話すは、申驥世キャプテン(2年)だ。
突き動かしたのは、危機感だった。
國學院栃木への敗戦を機に「やらないとやばいと思い知った」という桐蔭学園の選手たち。
だからこそ自分たちに矢印を向ける。
「勝ち切れてほっとした」と、申キャプテンは安堵の表情を見せた。
藤原秀之監督は言う。
「試験休みがあったので、実質2週間しか練習できていません。」
その中でも重点的に取り組んだ、アタック練習。ボールを動かすことを意識し練習に取り組んできた。
「この大会もそうですが、来月にはサニックスワールドラグビーユース交流大会2024への出場も決まっている。次を見据えて練習してきた」と話す。
そのチャレンジは、メンバー構成にも表れた。
関東新人大会ではスクラムハーフだった竹山史人選手(1年)をスタンドオフにコンバート。
「プレーメーカーを変えながら」適材適所を探している。
直前には修学旅行もあったが、選抜大会への出場を見据えメンバー入りした2年生たちは神奈川に残った。
そして組み合わせが決まった瞬間から1回戦の相手・長崎北陽台の対策を始める。
「同じブロックに東海大大阪仰星さんもいますが、長崎北陽台さんのことしか考えていませんでした」という申キャプテン。
だが藤原監督が「長崎北陽台とはどういう学校か」と問えば、生徒たちの答えは「進学校」どまり。具体的にどれだけの進学校なのか、長崎県内での偏差値上の順位を答えられる者はいなかった。
「リスペクトがない。そういうことなんだよ」と、藤原監督は説いた。
対戦相手の何をどう知り、どう対策を立てるのか。
新チームとなり最初の全国大会は、「どうやって相手を知るか、相手の何を知るのか」という所からスタートした。
長崎北陽台
モールを組めば、押し込むことはできた。
だが「そこに至るまでの問題」と品川英貴監督が言う通り、後半はボールを敵陣に持ち込めない時間が続いた。
「厳しさがない。いける、という勘違いをしている。田舎もんチームですよ」と厳しい言葉を続ける。
「この敗戦をどう考えるのか。流れに乗れなくなった時に、どうゲームを立て直すのか。悪い展開をひっくり返せるだけのメンタルがまだなかったです」と、次の策を思いやった。
今年のキャプテンは、No.8下田秩選手(2年)が務める。秩、と書いて「ひいづ」と読む。『日出ずる国』に由来する。
「言葉でまとめられるような選手ではないですが、1年生から試合に出してもらっている分、プレーでチームを引っ張りたい」と揺るがない信念を語るが、この日は用意したプレーを全く出せなかったことに肩を落とした。