決勝プロローグ ~花道で誓った「決勝で戦おう」石見智翠館と大阪桐蔭が紡ぐ20年来の友情|第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会

2024年3月28日。

第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 準決勝・第1試合を戦い終えた石見智翠館は、12年ぶりとなる決勝進出を決めた。

続く第2試合のため、第1試合を戦った選手たちは、即座にベンチを空けなければならないのが慣例。

だが、石見智翠館の選手たちは少しばかりその場で留まり、そっと花道を作った。

そして拍手が起こる中、その間を通るは、第2試合を戦う大阪桐蔭。

石見智翠館の選手たちは言った。

「決勝で戦おう」

大阪桐蔭の選手たちは返した。

「勝ってくるよ」


宣言どおり、大阪桐蔭は桐蔭学園に勝利し決勝進出を果たした

両校の繋がりは、20年に及ぶ。

綾部正史監督曰く「僕が大阪桐蔭の監督に就任してすぐのこと」と記憶する。

石見智翠館・安藤哲治部長は大阪府出身。

その1学年下に、同じく大阪府出身の大阪桐蔭・綾部正史監督。出身校は異なるが、同郷の若き指導者たちは交友を深め、20年もの長きに渡ってその関係性を継続してきた。

また現在石見智翠館の監督を務める出村知也氏の兄は、大阪桐蔭出身。だから「僕の父は少し前まで、携帯電話に大阪桐蔭と石見智翠館のストラップをぶら下げていたました」と笑う。

決勝前日の「今さら隠しても」

決勝戦前日に行われた、最後のチーム練習。

両チームは、なんと同じ時間に、同じ会場で練習を行った。

グラウンドを半分ずつ分け合って、体を動かし、フォーメーションの確認をする。

翌日決勝戦を戦うチーム同士では通常、あり得ない光景に、大阪桐蔭・綾部監督は「今さら隠してもしゃーないやん」と言った。


手前が石見智翠館、奥が大阪桐蔭

大阪桐蔭と石見智翠館は毎年、5・6回ほどの時間をともに過ごす。

練習試合の時もあれば、合同練習の時も。大阪桐蔭が石見智翠館のグラウンドに出向くこともあれば、花園前の最終戦は大阪桐蔭グラウンドで行うと決まっている。

昨冬の花園でも3回戦で対戦することはトーナメント上決まっていたが、例年通り体を当てた。

リスペクトしあう者たち。

これもまた「今さら隠してもしゃーない」の一つであった。

先、行ってきます

石見智翠館の花園最高成績は、第95回大会のベスト4。桐蔭学園を前に決勝進出とはならなかった。

大阪桐蔭もまた、2017年まではベスト4止まり。1月7日の景色を見ることはなかった。

だが、記憶に残る64フェーズの準決勝。桐蔭学園との激闘を制した大阪桐蔭は、第97回大会で初めて決勝に進出する。

すると試合直後、大阪桐蔭・綾部監督は石見智翠館の安藤部長(当時監督)に電話を掛けた。

そして、伝える。

「先、行ってきます。」

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石見智翠館・安藤部長は言った。

「その時、初めて意識しました。悔しさもあった。『ここ(ベスト4)より上に行きたいな』と、初めて思いました。」

だから、今年の全国選抜大会決勝を両チームで戦えることは「夢のよう」だという。

「一緒に高みを目指したい、と思ったチームと決勝戦で戦える。夢のようです。」

素敵な相手と、素敵なゲームを

互いの特徴も、互いの強みも弱点も、あらゆる側面を知り尽くした者同士の対戦。

「隠し玉がない」と石見智翠館・出村監督が言えば、大阪桐蔭・綾部監督は「丸裸対決」と称した。

「良い決勝戦になると思います。お互い笑ってると思いますよ。素敵な相手と、素敵なゲームをしたいです。(大阪桐蔭・綾部監督)」

今季最初の高校王者が決まる一戦は、間違いなく互いに全力を尽くし、互いにスポーツマンシップにのっとり、互いに励まし合う。

そんな60分間になるであろう。

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