10:00/スタジアム
5-8位決定トーナメント①
東海大学付属相模高等学校(神奈川)7-30 東福岡高等学校(福岡)
東海大相模
ファーストトライをFWで取り切った。
ゴール前では強みのFWで勝負する、その意志が統一された成長を見せた東海大相模。
「あれぐらいかな、って。ファーストトライを取り切れたことは相模の成長かなと思いますが、FWの運動量が少なかった」と話すは、No.8藤久保陸選手。
東福岡のワイドに展開するアタックに翻弄され、FWが寄りすぎ外が余るシチュエーションを作ってしまったことを反省した。
東海大相模では今季、FWを複数枚一斉に交替するシーンも多くみられる。
前半良いゲームができていても後半に崩れ、逆に前半苦しいゲームの時には後半エナジーが注入される。
60分間通して、ずっと好調をキープし続けることが、まだ難しい。
「フロントローの選手たちが変わると、レフリーにコミットできないシーンがあります。スクラムで流れを持っていかれてしまう、相模の対応不足かなと思います」
ここ福岡の地でも、課題として残った。
藤久保選手は言う。
「接点で勝っていたとしても、FWの運動量で負けていたら、FW全体としては勝てない。それが反省点です。だから素早くロールして、周りを見ること。練習時に、歩く時間をなくすこと。小さいことを突き詰めていきたいと思います」
今大会をとおして、外国人選手を相手にも自身の強いボールキャリーは通用すると知った。
それでも「まだまだ」
まだまだ、成長できる。
フィジカルレベルを上げ、ランニングスキルにパススキルも磨いていきたい、と藤久保選手は向上心をのぞかせた。
様々な文化的背景を持つチームと交流。ウェルカムパーティでは、石見智翠館と合同でソーラン節を披露した
東福岡
選手入場時のこと。
先頭を歩いたのは、キャプテンではなかった。
4番・平野良次選手に、10番・川添丈選手。
ともに1年生。
入学後僅か1ヵ月で、グリーン(東福岡のファーストジャージーのこと)のスターティングフィフティーンを勝ち取ったルーキーズだ。
1年生が初めてグリーンを着て先発する場合には、先頭で入場することが習わし。
「ヒガシの文化だよね」と2人は顔を見合わせ、笑顔を見せる。
8番・古田学央キャプテンは少し距離をとってピッチインすると、2人の頭を撫でた。
「頼もしい1年生です。チーム内にも競争が生まれ、良い相乗効果になると思う」とほほ笑んだ。
4番・平野良次選手
このサニックスワールドユースに1年生で出場した先輩たちも、過去には多い。
廣瀬雄也選手(現・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)に丸山凜太朗選手(現・トヨタヴェルブリッツ)、平翔太選手(現・明治大学3年)に福井翔大選手(現・埼玉パナソニックワイルドナイツ)とそうそうたる名が並ぶ。
だが「1年生のスタンドオフが先発したことはなかったのではないか」と藤田雄一郎監督は言った。
10番・川添丈選手
ともに福岡県出身。
「高校でラグビーするなら東福岡がいい」と決めていたのはSO川添選手。
中学2年生の頃から飛び級で福岡県選抜入りしたその経験値の高さをプレーで表し、落ち着いたゲーム運びでチームを軌道に乗せた。
川添選手自身が感じるこの1ヵ月間の成長は「ディフェンス。ミスも少なくなってきたこと」
一方、みやけヤングラガーズ出身の平野選手は「同じスクール出身の先輩たちと同じ道を辿りたかった。西柊太郎さん(現・近畿大学2年)に憧れているので、あの人と同じ道に進んだら僕も強くなれるのではないか」と東福岡の門をくぐる。
鮮烈な平野選手のファーストタックルとファーストキャリー。力強さをしかと見せつけた。
中学時代はロック。福岡県選抜に選ばれてからはプロップに転向したが、東福岡に入学後は再びロックに場所を移した。
「僕は、ボールを持って当たることが好き。当たれるのであれば、ポジションはどこでもいい。相手を倒した時の感覚が最高です」と笑えば、藤田監督も「あのフォルムでしっかり走る。走力あるんです」と加えた。
「先輩たちのおかげで助かっている場面があります。自由に、好きなようにやらせてもらえているので、これからもその土台を壊さないように頑張りたい」と話した平野選手
この日の先発15人のうち、1・2年生は10人を占めた。
「前半ガンガン当てさせて、1トライビハインドぐらいで折り返せたらいいかな」との狙いだったが、1トライのリードで折り返す。
「1年生スタンドオフが、要所要所でゴールキックを入れてくれた。どのカテゴリーのどの試合を見ても、良いゴールキッカーがいるチームは勝つ」と藤田監督は感謝する。
ルーキーに求めることは、ただ一つ。伸び伸びとプレーすることだ。
「2・3年生たちがフォローしてくれる今のうちに、好きにやらないと。来年になったら、しっかり東福岡のマニュアルを覚えさせられるからね」
アメリカ戦では3失点。ニュージーランドに14失点、國學院栃木には7失点。
東海大相模戦でも7失点と、東福岡にとって「ディフェンスが強みになっている」ことを感じる大会になっている。
5位を懸けた最終戦の相手は、御所実業。
「全くタイプの違うチーム」との対戦を心待ちにする。