4月28日に開幕した、サニックスワールドラグビーユース交流大会2024。
大会最終日となった5月5日には男子15人制の決勝戦が行われ、大阪桐蔭が桐蔭学園に17-15で勝利。
新型コロナウイルスの影響により海外勢を招かなかった2022年の第23回大会を除き、日本勢が初めて優勝トロフィーを手にした。
U17日本代表であり、今年の全国選抜大会・準々決勝以降でも全て先発。
世代屈指のスクラムハーフ・川端隆馬選手は、この日背番号21をつけた。
前日に行われた、ミーティングでのこと。
綾部正史監督から話があった。
「前半はディフェンス中心に行きたい。後半からおまえが入って、一気にギアを上げて流れを変えろ」
前半はディフェンシブに、一転後半は川端選手が素早い球出しからテンポを上げるゲームプランを、綾部監督は組んだ。
先発のスクラムハーフを務めた村上栞汰選手
世界一を決める決勝戦。
もちろん、スタメンで出たかった。だから川端選手はグラウンド練習の時にもう一度、監督に聞いた。
「なんでそのプランで行くんですか」
答えは変わらなかった。
「俺はこれで行くねん」
だから、信じた。
「わかりました」
自分にできることをやろう。「リザーブとしての仕事をしよう」と、気持ちを切り変えた。
リザーブのスクラムハーフ・川端隆馬選手
代わりに9番のジャージーを着たのは、村上栞汰選手。
試合前、川端選手は村上選手に想いを託す。
「前半任せるから、絶対俺に繋げてくれ」
言葉どおり、どのシーンでも真っ先にタックルへ入り、ディフェンスを大切にする大阪桐蔭らしいプレイヤーであることを村上選手は存分に見せつけた。
前半を終えて7-3。4点のリードを得て折り返した、大阪桐蔭。
良い形で繋いでくれました、と川端選手は感謝した。
決勝の舞台。
正直に言えば、9番を背負ってプレーしたかった。
「花園では、9番をつけたいです」
歓喜の輪の中に、9番として立っていたい。
世代ナンバーワンのスクラムハーフは、世界一に輝いた舞台で、喜びと同時に悔しさを知った。
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優勝の感想を問われた名取凛之輔キャプテンは「素直に嬉しいです」と喜びを口にした。
世界には新たなラグビーがあることを知った8日間だった。
様々なゲームスタイルを有するチームにチャレンジし続け、日本勢初となる優勝トロフィーを勝ち獲った。
「新たな歴史を刻めてとても嬉しく思います」
名取キャプテンは、嬉しさと安堵が入り混じった表情で優勝メダルを首にかけた。
はやくも2つ目の『結実』を手にした大阪桐蔭。
それでも、謙虚な姿勢は変わらない。
「僕たちは変わらず、チャレンジャー。花園の切符を掴んで、大阪桐蔭らしいプレーで花園優勝できるように頑張ります(名取キャプテン)」
果たして、今年はいくつの王座を手にするのだろうか。
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