いよいよ開幕する、ワールドラグビーU20トロフィー2024(7月2日~17日、スコットランド・エディンバラ)。
U20日本代表で唯一の大学3年生は、左プロップの森仁之輔選手(天理大学)だ。
※U20日本代表メンバーはこちら
かつてのチームメイトは言う。
森仁之輔は努力の人だ、と。
もともとロック志望だったが、高校時代にプロップ転向を勧められ、体重を30㎏増やした。
全体練習後、ウエイトに費やした時間は2時間。それも、毎日。
「1人でウエイト場にこもっていた姿を覚えています」と話すは、昨年のU20日本代表であり、中学・高校と同じチームでラグビーをした楢本幹志朗選手(筑波大学3年)だ。
高校3年次の花園ラストゲーム、ラストプレー。向かって左が楢本選手、右が森選手
福岡県出身の森選手。小学6年でラグビーを始め、中学時代は草ヶ江ヤングラガーズでプレーした。
福岡県選抜に選出されたことはないが、そのキャプテンシーから主将を任される。副将には、楢本選手が並んだ。
楢本選手は言う。
「僕が戦術を取りまとめて、チームのことは彼に完全に任せていました」
森選手とは、パッションを持っている人。
森選手が体を当て続けたからこそ、仲間もその姿に大きく影響を受けた、と振り返る。
東福岡高校に入学後は、下部チームでの時間が長く続いた。
だが「努力が実って(楢本選手談)」最上級生になると、全国大会のメンバー入りを果たす。
地道な努力を、積み重ねることができる人間だ。
忍耐力は、小学生時代に打ち込んだ剣道で培った。
個人スポーツの剣道では試合前に緊張していたというが、チームスポーツのラグビーでは、緊張を感じないのだそう。
「僕がダメな部分は仲間が補ってくれるし、逆に僕が得意な所では僕が前に出る。だからラグビーを始めた時から、緊張することはありません。『やれることをやろう』というマインドです」
助け、助けられるチームスポーツが、森選手には至極合った。
今年のU20日本代表には、2004年の早生まれ選手として唯一、選出された。
だが決して、主学年よりも1学年上だからと威張ることはない。
「周りもレベルが高いので、良いものを吸収できるように、と意識しています」
とことん、低姿勢を貫く。
今大会、左プロップを務めるは森選手とフッカー出身の大塚壮二郎選手(関西学院大学2年)の2名のみ。
「大塚壮二郎は1番(のポジション)に来たばかりですが、高いレベルでプレーしています。追い抜かれないように、そして一緒に成長できるように、頑張ります」
スクラムを組んでいる時にアドバイスを送りながら、二人三脚でU20日本代表を背負う。
スコットランドのぬかるんだグラウンド状態を考慮して、スクラムに耐えうる仕様にスパイクを変更したのは2月のこと。
ポイントの長さを、16mmから21mmに。僅か5㎜の差が「全然違う」のだという。
「21㎜のポイントは重たいので、足にかかる負担も、走るときの重みも違います。でもグラウンド状況が悪くても、スクラムで滑ることがあまりありません」
天理大学に戻っての練習でも、ポイントは21㎜のまま。ずっと、その重さに足を慣らした。
「2月以降、21㎜から変えていません」
桜を背負う覚悟を、足もとに表した。
出国前最後となる天理大学での試合は、筑波大学との定期戦だった。
対戦相手にはもちろん、楢本選手が。
いくつか言葉を交わすと「頑張ってきてね」とエールを送られた。
初めて着る、桜。
昨季もU20日本代表のセレクションには入ったが、最終メンバー入りならず。
「まさか次の年にも呼んでいただけるなんて、良い経験です。だからこそ感謝して、全力でプレーしなければいけない、と思っています」
積み重ねた努力を、いま、スコットランドで開花させる。
ワールドラグビーU20トロフィー2024 大会スケジュール
【プールA戦】
- 7月2日(火) 11:45KO(日本時間19:45) vs U20ホンコン・チャイナ代表
- 7月7日(日) 17:15KO(日本時間7月8日 1:15) vs U20サモア代表
- 7月12日(金) 19:45KO(日本時間7月13日 3:45) vs U20スコットランド代表
【順位決定戦】
- 7月17日(水)