U20日本代表、充実の前日練習「今が一番良い状態」あす運命のスコットランド戦へ|ワールドラグビーU20トロフィー2024

大久保直弥HC「自分のチーム、になった」

大一番を前にも「緊張はしていません」と話したのは大久保直弥HC。

「もう手が離れた。巣立ちです」と親心をつぶやいた。

チームの成長を、個々の能動性から感じ取る。

選手自身がやるべきことを理解しているからこそ、それぞれが自発的に動けている。

「より良いディフェンスのために、選手たちから『こう並んだほうがいいのではないか』という話もありました。そういうのが見えているのは、一段レベルが上がったなと感じます」

1人ひとりが『自分のチーム』という感覚を持っているのではないか、と大久保HCは理解した。

それでも前節・サモア戦は苦しんだ。

勝利をしたものの、U20日本代表が目指すラグビーの形ではなかった。「若干バラバラになってしまったことは否めない」と話す。

「スコットランドが123点を取ったその点数に、少しでも近づけたくなったのではないか」と慮った。

「そういうゲームは絶対、大会中にあると思っていました」

個ではなくチームとして完成するラグビーを目指すU20日本代表にとって、グラウンドに立つ選手たち全員が同じ方向を向かない限り、最大の効力は発揮されない。

良い学びを得た。

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日本はスコットランド戦の控えに、6人のFWを揃えた。

「FWゲームになることは間違いない。リザーブにFW6人、BK2人というバリエーションは、パシフィック・チャレンジでもNZUとの試合でも試してきました。スクラムにモール、そして走るラグビーをしているので、いつもより1人多くFWを入れておくと何かあった時にチームは助かる。FWが前に出たら、バックスはかなり高い確率でトライを取ってくれる」と、理由を話す。

「FWは誰が出ても大袈裟ではないぐらい、競争が良い方向に行っています。サモア戦で先発したシュン(磯部俊太朗)も、リョク(舛尾緑)も。3番なんて誰が出ても良いスクラムに良いアタックができます。誰が出てもU20日本代表のアタック・ディフェンスができる」と自信を持つ。

その象徴的な選手が、螻川内晴也選手。

左プロップの大塚壮二郎選手が1戦目で負傷し、万全を期して出場を見合わせていることから、フッカーを本職とする螻川内選手が急遽1番にまわった。

「U20では1番の練習もしていました。帝京大学でも少し練習をしていたようです。本人の気持ちの中では『出られるんだったらどこでも』と。本人も手応えを感じていると思います」

そしてこの日、大久保HCが最後まで付き合ったのは、フッカーのスローイング練習だった。

フッカーが投げるボールを、大久保HCがキャッチする。

2月のFW合宿時から恒例となった風景だという。

「本人が投げた時の感覚と、僕がキャッチした時の感覚が互いに『良い』と感じる時に、成長の瞬間があります。適当に100本投げるよりも、集中した20本(が大事)」

巣立った選手たちの、更なる成長を変わらずサポートする。

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チームは、6月中旬に行った日本代表とのアタック・ディフェンスで『1人では何もできない』と実感した。

そこからどう周りと繋がり、チームとして戦うのか、を学んだU20日本代表の選手たち。

「アウェーでスコットランドと戦う機会なんて早々ない。自分がどう立ち向かうか。何が起きても、失敗にはなりません」

勝負の一戦。

決して逃げずに、決して諦めずに。

チームジャパンで立ち向かう。

SO伊藤龍之介「勝ちたい」

第1試合・ホンコン・チャイナ戦。

「すごく上手くいって、良いアタックができた」

第2試合・サモア戦。

「特に前半、手こずった」

そして迎える、第3試合・スコットランド戦。

「しっかり改善して挑む準備ができた」と話すは、3戦連続で先発のスタンドオフを務める伊藤龍之介選手(明治大学2年)だ。

前節・サモアとの試合では、2人目の寄り、そしてアタック時に細かなミスが目立った。

だがそこは「意識次第で変わるところ」と伊藤選手は話す。

「サモア戦は集中力に欠けていたんじゃないかな、って。チームは『ロケットスタート(前半20分をアタックマインドで仕掛けること)』を掲げていますが、それができていなかった。緊張感が違いました」

どこかで「楽に勝てるだろうな」と思っていたこと。

もっと簡単にトライが取れると思っていたこと。

スコットランドがサモアを相手に123点を取った、そのスコアを超したいと思っていた部分があったこと。

「一つひとつのプレーが軽くなってしまった」と振り返る。

だが、そんなしっくり噛み合わない雰囲気さえも教材とする。

「上手くいかなくなった時に、自信のないプレーになってしまいました。おどおどしながら、引き気味なプレーになってしまってミスも多くなった。良くない雰囲気でした。だからハーフタイムに『自信をもってプレーしよう』と伝えたんです。『やってきたことは間違っていないから。行けると思ったら、自分で行っていい』って。そうしたらブースター(リザーブの選手たち)が良い勢いで入ってきてくれて、アタックできた。

スコットランドを相手には、上手くいく時間の方が少ないと思います。良い練習になったと思うし、この4日間の使い方も変わりました。みんな今はすごく集中できているし、練習でも良いクオリティでプレーできています」

チームは一つ、山を越えた。

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いよいよ迎える、運命のスコットランド戦。

上手くいかない時間があっても、気にしない。

たとえ一発では開かなくても、どんどん突いていけば絶対どこかで開くし、トライだって取れる。

そこを上手くコントロールしたい、と伊藤選手は話す。

「FWは体を張ってくれます。バックスも良いランナーがたくさんいる。みんなのやる気を良い方向にしっかり向かせたいです」

無駄なフラストレーションを溜めないために、アタックでは正しい所にボールを運んで、無理なプレー選択をしないこと。

仲間には熱くプレーして欲しいが、だからこそ自分自身は冷静にプランを遂行すること。

監督ともコミュニケーションを取って、しっかりと声で繋がること。

U20日本代表スタンドオフとしての、伊藤龍之介としての誓いだ。

「僕も緊張しています。今回勝ちたくて、スコットランドに。みんなで話しているんです、『絶対に勝ちたいね』って。結構ドキドキしています(笑)どこまでできるか分かりませんが、(チームを)勝たせられれば」と、やわらかな笑顔を浮かべた。

勝ちたい。

なぜなら、自分たちは日本の代表。

なぜなら、これまでたくさんの練習を重ねてきた。

なぜなら、ここは最高峰の舞台・U20チャンピオンシップではなく、その次点に位置づくU20トロフィー。

そんなところで負けたくない。スコットランドに来たからには、スコットランドに勝ちたい。

絶対、負けたくない。

「みんな、同じくらいの熱量でやっていると思います」

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現地時間11日午後に行われた前日練習では、細かいミスが命取りとなることを見据え、細部の詰めに時間を費やした。

「少しでも詰められることを詰めたかった。分かり切っていることでもしっかり確認して。どんな状況でも対応できるように」と、あちらこちらでコミュニケーションを図った。

「本当に今までで一番、集中力がありました。クオリティも高かった。実は昨日の練習では、ミスが目立ったんです。でもそれは別に良くて。スコットランドを相手に自分たちがやりたいことをやろうとしていて、そのミスを今日改善できていれば良かったんです。今日はみんな改善できていました。ミスも少なかった。みんなの勝ちたいという気持ちが、空回りせずにグラウンドに出ていた良い練習だったと思います」

現在、得失点差でプールA 2位につけるU20日本代表。勝利のみが、決勝戦へとつながる。

「我慢勝負。ディフェンスの強いチーム同士なので、ロースコアになると思います。そこでいかに我慢できるか。いままでアタックで気持ち良くトライが取れていましたが、きっと取れなくなる。そこでフラストレーションを溜めて個人プレーに走ってしまうと、相手の思う壺になってしまいます。いかにハードワークして、チームで戦えるか。それができるU20日本代表だと思っています」

さあ、世界を驚かせにいこう。

U20スコットランド代表との試合は、日本時間13日 午前3:45にキックオフする。

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