大久保HC「誇りに思う」
ロッカールームに戻り、大久保直弥ヘッドコーチが最初に選手たちに伝えた言葉は「誇りに思う」だった。
「結果は10-46。ですが僕は選手のこれまでの取り組み、そしてハードトレーニングを誇りに思います」
前半最初の20分をアタックマインドで仕掛ける『ロケットスタート』がU20日本代表の信条。
だが肝心の10分、20分でミスは続き、ペースを作れない。
「いかに正確にプレーできるかが今後の課題」だと大久保HCは振り返る。
「(この結果に)しっかりと向き合うこの経験が、彼らにとってのインターナショナルな世界のスタートです。相手のホームグラウンドでスコットランドと戦うことは、想像以上のプレッシャーだったと思います。ただ、ここから逃げずに。どう自分がステップアップしていくのか。選手それぞれに向き合って欲しい」と付け加えた。
もちろん、率直な感情は「悔しい」に尽きる。
「今日はしっかり落ち込んで。ただそこから逃げず、しっかりと向き合って、最終・ウルグアイ戦を良い形で終えて日本に帰国したいと思います」
太安キャプテン「チームを作り直す」
「2月からやってきて、この試合だけ(を目標)にやってきた。勝ちたかったな、って思います。今日勝って、次も勝って優勝、と考えていたので。それができなくなって悔しいです」
言葉を選びながら、そしてこみ上げる感情を押し返しながら、太安善明キャプテンは素直な気持ちを打ち明けた。
前半何度もゴール前まで攻め込んだものの、ボールは繋がらない。
「ゴール前で自分たちは取り切ることができず、スコットランドのアタックに対してディフェンスするばっかりでした」
タフな試合。
後半は切り替えてトライを狙いに行ったが、小さなミスから逆に相手にトライまで持ち込まれてしまう。
「後半もズルズルといかれてしまいました。もう少し自分たちがアタックする時間を増やせていれば」と悔やんだ。
U20日本代表としては、相手より早く動くことでテンポよく外でトライを取り切りたかった。
だが「FWで(相手の圧力を)受け、バックスにはミスが続いた」ことは想定外。
トライを取れそうな場面で、スコットランドに何度もターンオーバーを許した。
日本も粘り強いディフェンスを見せたが、しかしターンオーバーとまではいかず。
太安キャプテンは「我慢しかない。でもどこかで(ブレイクダウンを)越えることも必要」と、仲間に声を掛けていた。
「精度が良くなくて得点に繋げられなかったな、と思います」
もちろん、スコットランドも強かった。
だが前半に得点を取ることができていたら、もっと良い展開にできていたのではないか。
試合を終え、想いは静かに巡った。
今大会残るは、U20ウルグアイ代表との3位決定戦。
「勝ちしか求めていません。最後の一戦に向けて、またチームを作り直して。最後勝てるように、頑張ります」
チーム太安のラストゲーム。
大きな桜の、集大成を。
髙木城治「もっとやれた」
「もっとやれた」が、試合を終えたSH髙木城治選手の一言目だった。
「FWがあれだけ頑張った中で、バックスがボールを失うシーンが多かった。FWに申し訳ないという気持ちでいっぱいです」
アタックでは、FWが良いモメンタムを生み出した。
だがエッジでバックスが取り切れず、チャンスを逃せば相手にチャンスを与えた。
0-12で折り返した後半のファーストトライは是が非でも、と狙ったが、やはりミスから流れを明け渡してしまう。
あれよあれよという間に連続トライを許した。
スコットランドはエッジでのブレイクダウンにかけてくると事前に想定していたからこそ、敏感になった部分もあったのだろう。
「ブレイクダウンを作る前に、自分たちでボールを後ろに下げてしまいました」
良いバックスリーがいる中で、スピードを落としてしまったことが痛かった、と続けた。
試合後、堪えられぬ涙を零した髙木選手。
「このメンバーと長くやってきて。このために、色々と犠牲にしてやってきて。こういう結果になってしまったことが、すごく悔しかったです」
だが、まだ次がある。ラストゲームで、日本らしいラグビーを見せるために。
大久保HCは「今日はとことん落ち込んで」と言ったが、髙木選手は「もう切り替えないとズルズル行ってしまう」と気丈に振舞った。
「自分は切り替えて、次のゲームにどうフォーカスするか考えていきたいです」
遠く日本から声援を送った多くのファンに向けても「まだ次の試合がある。引き続き応援お願いします」と言葉をのこし、最後の戦いへと向かった。
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