長野県上田市菅平高原・アンダーアーマー菅平サニアパークにて行われた、第11回全国高等学校7人制ラグビーフットボール大会。
神奈川県代表・桐蔭学園高校は、第6回大会以来2度目の優勝を果たした。
※決勝戦の模様はこちら
桐蔭学園を徹する
桐蔭学園が全国高校7人制ラグビー大会で初めて優勝したのは、第6回大会。
伊藤大祐選手(現・コベルコ神戸スティーラーズ)がチームキャプテン、西川賢哉選手(現・NTTドコモレッドハリケーンズ大阪)がセブンズチームのキャプテンを務めていた2019年のことだった。
その前年、2018年度のチームキャプテンを務めていたのは、第3回ユースオリンピック競技大会で銅メダリストとなった小西泰聖選手(現・浦安D-Rocks)。
当時からセブンズチームの指揮を任されていた福本剛コーチは、高校3年生だった小西選手に「セブンズのノウハウを下の学年に伝えておいてほしい」と頼んでいたという。
小西選手がセブンズナレッジを後輩たちに伝授した翌年、桐蔭学園は7人制で初優勝。
そして、小西選手がスポットコーチとしてチームに帯同した2024年。
桐蔭学園は再び、夏の王者となった。
福本コーチは言う。
「小西の教えるセブンズが、たとえ古いものであったとしても。最新のラグビーじゃなかったとしても。僕は、桐蔭学園として一つのことを『徹する』ことをしたかった」
初志貫徹。
桐蔭学園ラグビー部としての覚悟とスタイルを示した、2024年夏の全国タイトルだった。
写真中央が福本コーチ。左が小西選手、右が桐蔭学園OBで現在大分東明のコーチを務める横山陽介氏
草薙が走らなければ優勝はできない
15人制のリーダー陣ではない選手に役割を与えるのが、桐蔭学園にとって毎夏の恒例。
今年は、WTB草薙拓海選手がセブンズチームのキャプテンを務めた。
その理由について、福本コーチはこう話す。
「のちのち、15人制でその経験が活きて欲しい選手を指名しています。リーダーの素質がある・ないではなく、ここで様々なことを学んでほしいなと。(草薙選手は)ふだんは一歩引いたような、どこか大人しい所があります。言葉も上手くはないですが、これから先、大学生や社会人になった時になにかチャンスがあればいいな、という思いもありました。もちろん今年は、草薙が走らなければチームとして優勝はできないので。『おまえが責任をもって、最後は走るんだぞ』と伝えていました。草薙はそれがまっとうできる子です。周りも、そんな草薙を助けられるチーム」
言葉どおり、走った。
エースだった。
必ず取り切った。
プール戦初戦・東福岡戦。
試合終了間際、逆転のトライを決めたのが草薙キャプテンだった。
続く京都工学院戦では、チーム最初のトライを挙げた。
大会2日目、カップトーナメント1回戦・明和県央戦ではウォーターとしてチームをサポート。
準々決勝・佐賀工業戦では先制トライを決め、チームに勢いを生み出した。
大会3日目、準決勝でも1トライ。
そして決勝戦、ラストトライを草薙キャプテンがゴール中央に決め、戦いを締めた。
出場した全試合でトライを挙げた草薙キャプテン。
前述通り「草薙が走らなければチームとして優勝はできない(福本コーチ)」を見事に体現した。