8月1日から3日まで、長野県上田市菅平高原・アンダーアーマー菅平サニアパークで行われたKOBELCO CUP 2024 第20回全国高等学校合同チームラグビーフットボール大会。
U18部門に出場したU18関東ブロックは、決勝リーグでU18東海ブロックに勝利したものの、最終・U18九州ブロック戦で敗れ2連覇ならず。
大会を2位で終えた。
「自分たちの強みであるディフェンスで敵わなかった。元気ももっていかれてしまって、良い所が出せませんでした。完敗です」
九州ブロックに敗れると、LO大塚北翔キャプテン(伊勢崎高校3年)は悔しさを滲ませながら語った。
決勝リーグ1戦目、U18東海ブロック戦。
7-0と僅かなリードで迎えた後半、大塚キャプテンが勢いよくラインブレイクした。
自陣からボールをもって、ビッグゲイン。敵陣に入ったところで右外を走る仲間に託せば、一気にゴール前へと進んだ。
相手の必死のディフェンスにも耐え、タッチには出さずに凌ぐ。
一度はターンオーバーを許したものの、すぐさまボールを奪い返すと、最後は12番・鈴木弦選手(磯原郷英高校3年)がインゴールに飛び込む。
キャプテンから繋がり、託された楕円球。
「ここはトライを取り切らないとダメだな、と思って。あの場面でボールをもらえて、しっかりトライができました(鈴木選手)」
U18関東ブロックが目指したチームトライだった。
「大学でもラグビーを続けたい。これからのラグビー人生の自信にも繋がるゲームになりました(鈴木選手)」
U18関東ブロックは全員がエース。
だが、とりわけのスーパーエースはNo.8笠原優希選手(渋川工業高校3年)。
2年連続でこの舞台に立った笠原選手は、決勝リーグ第2戦・U18九州ブロック戦で初めての敗戦を経験した。
「悔しいですね。とにかく悔しいです」
試合後、顔を覆った。
自分のプレーを100%発揮できなかった悔しさが残る。
「タックルもあまりいけなかったし、ボールキャリーでも前に出られなかった」
どんな時でも100%のプレイヤーであるために、鍛えなければならないのは精神面だ。
「監督に怒られないんです。だからこそ期待に応えないと、という逆のプレッシャーがありました」
スーパーエースゆえのプレッシャー。
だが、それを跳ね除けなければ次のステージはやってこない。
笠原選手自身が「プレッシャーに弱い」と話す自らの壁を、次の舞台で、次の仲間と乗り越える旅路に出る。
「2連覇したかったです。でも負けたほうが、思うことはたくさんありました。実力不足だし、試合の入り方が大事だと学ぶこともできた。相手のキックにも対応できず、お手本のような良いアタックをされてしまった。めちゃくちゃいい経験になりました」
昨年は、勝ってうれし涙。
今年は、負けて悔し涙。
「もし(花園での)東西対抗に選ばれるようだったら、もっと違う自分に成長していたい」
成長の涙を流した。
仲間とラグビーに打ち込むということ
試合後、涙に暮れる仲間を横目に、大塚キャプテンはただ一点を見つめた。
「負けたか、と現実が受け止めきれなくて。ずっと放心状態でした。みんなは負けを理解していたけど、僕は理解が遅れちゃって。何も考えられなかったです」
「やっぱり準優勝は悔しい。勝ちにこだわる姿勢をもっと大切にしたい(大塚キャプテン)」
U18部門を戦う選手たちにとって、ラグビーができることは当たり前ではない。
学校に戻れば、15人揃わず単独チームで戦えず。パスを放る相手がいない時だってある。
だからこそ、見渡せばボールを繋ぐ仲間がいること。
喜び、悲しみ、讃え、応援したいと思える仲間がいること。
2024年の夏、ラグビーでしか知ることのできない多くの感情を見つけた。
仲間の笑顔を、手を広げ待ち受けること。
仲間のトライに、喜び抱きしめにいくこと。
ボールを前に運んでくれる仲間がいること。
仲間を孤立させぬまい、と力を尽くすこと。
仲間が繋いでくれたボールを、トライに結びつけること。
ともにゴールラインを守る仲間がいること。
気持ちが前のめりになりすぎてしまった、初めてのシンビンも。
仲間に迷惑を掛けた、と泣き崩れた時に手を差し伸べてくれるコーチがいることも。
仲間が、自分の実力を認めてくれること。
仲間の努力を、認められること。
伸ばされた手のぬくもりを、感じられること。
どんな時も、笑顔で真っ直ぐに仲間を迎え入れること。
対戦相手を讃えられること。
30人の高校生たちで、ラグビーをすること。
「とても貴重な夏になりました。高校生活でこんな経験ができること、ないと思っていて。こういうチャンスを頂けて、全国で準優勝という経験も得られた。すごく嬉しいです(大塚キャプテン)」
2024年、夏。
高校生たちには、ラグビーがあった。
- 1
- 2