神奈川県、4強出揃う。「ミスに厳しくなった。ピリピリしている」|第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会神奈川県予選会

9月28日に開幕した、令和6年度 第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会神奈川県予選会。

11月4日には準々決勝が秋葉台運動公園球技場で行われ、ベスト4が出揃った。

なお準決勝は11月9日(土)に同会場でキックオフを迎える。

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桐蔭学園 148-0 湘南

桐蔭学園

神奈川連覇、花園連覇を目指す桐蔭学園は計22トライ。

ブレイクダウンと個の強さでボールを前に運び続けた。

特に後半は「あのメンバーになったら点を取られる感じがしない」(藤原秀之監督)という主力が続々と登場。違いを見せつける。

一方、前半序盤はボールを繋ぐ場面でのミスやコミュニケーションエラーもあり、決してパーフェクトゲームではなかった準々決勝。

まだまだチームとして進化する余地を残した。

またこの日は、怪我明けの選手たちも実践復帰。

No.8新里堅志選手とFB古賀龍人選手は夏の菅平合宿最終戦、東海大大阪仰星戦以来の試合。

FL申驥世キャプテンは国スポ関東ブロックでの茨城県戦以来のゲームで、SO丹羽雄丸選手は今季15人制での公式戦初出場。

WTB草薙拓海選手も全国7人制大会で優勝キャプテンを務めて以来の公式戦だった。

「まだまだ、6割7割くらい」という指揮官の評価も「自分たちがやりたいことを遂行するためのプレーはできたんじゃないか」と、古賀バイスキャプテンは話す。

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夏・秋は、個を磨いた。

チームとしてどこからトライを取るのか、とプランも練った。

あとは「腹が決まれば」という、今季注力する球繋ぎのプレーを、いつ繰り出すのか。

頭脳戦と胆力が試される。

「(決勝戦までの残り)2週間分の準備をしてきたつもりです。修正する所は修正します。今日はキックオフが良くなくて、前半は勢いでやってしました。先発は(ともに2年生の)若いハーフ団。もう少しゲーム作りを上手くやって欲しかったな、と思います。でもああやってキャリアを積んでいくことも大事かな」(藤原監督)

夏の菅平合宿では、申キャプテンをハーフタイムで下げ、後半からは下級生を出場させるなど選手層を厚くすることに尽力した桐蔭学園。

総合力が試される、ノックアウトステージは続く。

***

主将・副将が怪我でチームを離れた、およそ2か月弱。

FWリーダーのLO西野誠一朗選手がキャプテン代行を、BKリーダーのSH後藤快斗選手がバイスキャプテン代行を務めた。

「(申)キセ、古賀のリーダー陣に任せきりになっていたので、いなくなった時には困惑して最初は厳しかったです。でも徐々に1人ひとりが意識をもってくれたおかげで、声も出るようになりましたし、コンタクトレベルも上がりました。いまは良い状態で、(神奈川県決勝の)11月17日に向かえています」

西野選手は、チーム力への自信を口にした。

中学時代はバイスキャプテン。

元々リーダーの立場で話すことが得意だったという西野選手だが、それでもキャプテンをすることによって視野は広がり、周りを見る力が養われた。

それが今、自身のプレーにも表れる。

「周りを見て、FWをどう生かすかと考えながらプレーすることが増えました」

リーダー不在というピンチを乗り越えた桐蔭学園。新たな強みを手にした。

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湘南

明るく、ポジティブな言葉を絶やさないチーム。

「よく止めたね」「ナイスタックル」

「次は○○で行こうか!」と、何度も押し戻されたインゴールでも、下を向くことはなかった。

キャプテンは、冨山澄海選手。

澄海と書いて『スカイ』と読む。

苗字に山があることから、山から海を見て、美しい風景を見ることができるように、と名付けられた。

陸海空を制する名前にたがわず、試合後には落ち着き、明るい表情で取材に応じる。

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湘南高校でラグビーをすることが夢だった。

湘南は、勉強もがっつり、部活もガッツリ。『日本一の体育祭』と呼ばれる行事にもガッツリ。

全てに本気で取り組む湘南に憧れ、3年間の学びの地として選んだ。

「入部してから、桐蔭学園さんとの対戦はこれが5度目。これまで一度もトライを取れたことがなかったので、その呪縛を今日は解こう!とがんばりました」

トライを取られることは分かっていた。

だからこそ、失点よりも自らの1トライに全神経を集中させた。

「僕たちが質量で当たっていっても、桐蔭学園は強いから勝ちに行くことは厳しい。湘南の長所は、と考えた時に『スマートさ』と『パッション』を武器にして、ハイパントを蹴り上げてイーブンの状態からワントライを狙いにいきました」

策は有していたが、それでもなかなかボールを持てず、奪えず。

「頑張ってタックルしましたが、最後の最後で上手く交わされてしまいました」

奪えなかった1トライ。

後輩たちに、リベンジを託す。

「次は絶対に桐蔭学園からトライを取って欲しい!この感じでいくと、来年もきっと当たると思うので(笑)この無トライ呪縛を解いてほしいなと思います」

ラストゲーム。

OBや学校の友人、保護者らたくさんの人が応援に来てくれたことに感謝し、グラウンドを去った。

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