川越、16年ぶりのベスト8。「見るもの全てが夢見ていた景色。この場所に立てたことが人生の誇り」|第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選

9月8日に開幕した、令和6年度 第104回全国高等学校ラグビーフットボール大会埼玉県予選。

11月2日には準々決勝が熊谷ラグビー場Aグラウンドで行われ、ベスト4が出揃った。

なお準決勝は11月9日(土)、熊谷ラグビー場Aグラウンドでキックオフを迎える。

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昌平(A1)53-0 本庄第一

昌平

熊谷ラグビー場Aグラウンドに場所を移した、準々決勝。

天候は雨。相手は本庄第一。

きっと、なにか策を立ててくるだろう。

事前の予測から、ハイパントに対応する陣形を組んでいた昌平。

それでも22m内で蹴り込まれたキックには、驚きを隠さない。前半中盤には、自陣深い位置でのディフェンス時間が続いた。

それでも接点やブレイクダウンで後手に回ることなく、たくましく勝負を仕掛ければ守り切る。

こぼれ球への反応も随一だった。

スクラムにラインアウト、セットプレーではいくつか噛み合わないシーンはあった。

それでも横の連携は抜群で、ボールを持てばあっという間にゴール前へとたどり着く。

兼ねてより信条とする防御力に加え、攻撃力が大きく向上したことを示した一戦となった。

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4トライを決めた10番・宮本和弥選手は、今年の初夏まではフルバック。

だがスタンドオフの位置につくことが増えた夏合宿以降は10番が続き、この花園予選でも背番号10番を背負う。

この日もアンストラクチャー時には後ろへ下がったが、セットプレーからの攻撃ではスタンドオフの立ち位置に入った。

背番号関係なくポジション配置につく昌平。

現在のフォーメーションにも「だんだん慣れてきた」と話す。

細身の体ながら体幹は鍛えられ、攻守の肝となる宮本選手。

圧巻のディフェンス力に加え、ボールを持った時のランコースには会場から驚きの声が上がる程だ。

現在の課題は、キャッチからパスのスピードを的確にすること。そしてパスの精度を上げること。

まだまだ伸びしろだらけの2年生。

「目標は大会通じての無失点」と、残る120分も鉄壁の防御を敷く姿勢を示した。

本庄第一

蹴って、チェイスして、タックルして。

一瞬のチャンスを狙い続けたのは本庄第一。

敵陣深くであっても、とにかくハイパントを蹴り込んだ。

前半中盤。

敵陣でのマイボールスクラムから15番・岩﨑瑛汰選手がショートパントを、続いて10番・坂本智駿キャプテンがゴールライン間際に迫る裏へのボールを蹴り込むと、この日最大のチャンスは訪れた。

しかし仕留め切れず。ゴールラインが遠い。

フリーキックでも15番・岩﨑選手のタップキックからすぐにパントを蹴り上げるなど、意表を突いたプレーでトライを狙ったが、昌平のディフェンスは固かった。

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試合中何度も声を張り上げ、誰よりも笑顔でプレーしたのはSO坂本智駿キャプテン。

グラウンドを去るときにも涙を見せず、笑顔で拳を突き上げた。

「昨年もベスト8。今年は昌平が強いと分かった上で、自分たちは戦いにいきました。悲しい状態で終わりたくなかった。この1年、共同キャプテンとしてチームを引っ張ってきたからこそ、自分だけは笑顔で終わりたかった」

出し切った。

悔いもない。

これまでだったらトライを取れていたシチュエーションはいくつもあったが、そこで届かなかったのは「自分たちと昌平との強さの差」だと、気丈に受け入れた。

3人の共同キャプテンを筆頭に、チャレンジを重ねた1年間。

この日、ゲームキャプテンを務めたのはNo.8杉田脩選手。

試合後、応援席への挨拶を終えると、去り際に涙が溢れた。

「昨年、先輩たちとベスト4をかけてこのグラウンドで戦いました。今年こそは勝って、さらに良い景色を保護者の方やサポートして頂いている方たちに見せたかった」

受け止めたのは、もう1人のキャプテン・HO澤田晃希選手だった。

これで2年続けてのベスト8となった本庄第一。

この壁を、後輩たちには超えてもらいたい。

「本庄第一として新井先生がやりたいラグビーは、去年のようなボールを動かし続ける展開ラグビー。今年、僕たちにはそのスキルがなかった。だから後輩たちには、スキルを磨いて、自分たちの強みを一つでも作っていって欲しいです」(坂本キャプテン)

「埼玉で一番の練習をすれば、新井先生と菊池コーチについていけば、絶対にベスト8を乗り越えて花園に行けるチームだと思う。1日1日の練習を大切にして欲しい」(杉田キャプテン)

チャレンジャーだった3年間。

笑顔と涙で、グラウンドを去った。

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