花園2024、開幕。&rugbyが選ぶ注目校一覧

Bシード・茗溪学園高等学校

茨城県代表・13大会連続30回目の出場

センターの菊川逞キャプテンを中心にまとまりをみせる茗溪学園。

バイスキャプテンは同じくセンターの山口海晴選手。昨年のU17日本代表であり、今季の高校日本代表候補でもある。

プロップ和田翔太選手は怪我のため長らく戦列を離れたが、花園では間違いなく必要なピース。

バックファイブの大畠弘成選手も高校日本代表候補。試合中に発する『Vamos!』がチームのバロメーター。

スクラムハーフは2年生の堺太郎選手。強気なプレーも目を引く。

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Bシード・國學院大學栃木高等学校

栃木県代表・25大会連続30回目の出場

キャプテンはロックの笹本直希選手。コクトチ生活6年目、吉岡肇監督と同じ屋根の下で暮らし、骨の髄までコクトチらしく仕上がった。

バイスキャプテンはプロップの牧田玲大選手。ヘッドキャップを被った姿は2番・齋藤丈太郎選手と瓜二つなので要注意。コクトチが苦しい時期を過ごした夏、チームが士気を維持できたのは、前向きな言葉を発する牧田バイスキャプテンの存在も大きかったはずだ。

スタンドオフには、帰ってきた神尾樹凛選手。肩の怪我を乗り越え、花園に間に合わせた。

またスーパーエースの2年生、福田恒秀道選手も順調に復帰。

2人の脚が陣地を前に押し進められるようになった秋以降は好調を維持し、流経大柏や茗溪学園ら関東の強豪校から50点以上をコンスタントに取れるようになった。

もちろんDNAとなったコクトチディフェンスは健在で、ゴール前では一層の力強さを発揮。ブレイクダウンの見極めも秀逸で、人数をかける場面と捨てる場面の判断に迷いなく、誤差もない。

10月以降の練習試合では、なんと対戦したほとんどのチームに1トライ以上を取らせていない仕上がりだ。

「神尾樹凛と福田恒秀道がいない間に、一番FWが粘った。いま、メンバーが揃ってバックスも調子が上がって、両輪で機能している」と笹本キャプテンも自信をのぞかせる。

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吉岡肇監督コメント

高校日本代表候補の神尾樹凛と、U17日本代表の福田恒秀道が帰ってきた。キックの飛距離と精度が全然違う。司令塔は2枚いればいいと思っていたので、この2枚が欠けた時期はFWも大変でした。

関東新人で優勝、全国選抜大会も3位。元々力がないわけではなかったが、キーマン不在の間に伸びてくれた選手もいた。そこに2人が帰ってきて、本来のベストメンバーになったらチームとしてかなり調子を取り戻しました。

タックルして起き上がるまでを一連とする練習を積み重ねてきました。対戦相手にとっては、なかなか数的優位を生み出せないのではないか。それだけコクトチは、立っていることができています。スタイルが浸透、確立されてきた感じがしますね。

そのためにはもちろん、時間をかけてミーティングもしましたしビデオも見た。分析もしました。そういう成果が「どの選手が出てもコクトチのラグビーができる」所に繋がったのではないかと思います。

ーーBシードは中部大春日丘と同じ山組みになりました

メイングラウンドで元旦。(昨季も同日に同場所だったことをふまえ)ストーリーを感じますね。

OBらからは『リベンジのコクトチ』と呼ばれていますが、これまでも報徳学園さん、日本航空石川さんなど花園で敗れた相手と1年ないしは2年以内にリベンジチャンスが巡ってきています。そして見事にリベンジしているという歴史があります。

今回もさっそく、敗れた翌年に対戦する機会が巡ってきた。生徒たちは、昨年の先輩たちの悔し涙が浮かぶでしょうから、それをエネルギーに頑張って欲しいなと思います。


SO神尾選手

笹本直希キャプテン コメント

同じ山組みに中部大春日丘さんが入った。昨年の花園でも3回戦で対戦したが、敗れた相手。その時自分は6番で出場していたので、悔しい想いを経験している。今年こそ「ハルヒさんに勝ちたい」という思いでいっぱいです。

花園までの1ヵ月半は、ディティールにこだわった。練習小さいミスが重なると、花園という大舞台では流れが一気に変わってしまうと思う。しっかりと詰めて挑みたい。

6年間、吉岡監督の下でプレーしてきた恩がある。恩返ししていきたいという気持ちでいっぱいです。

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Bシード・目黒学院高等学校

東京第1地区代表・5大会連続23回目の出場

花園出発前の、最後の週末。國學院久我山と合同練習を行った。

アタック・ディフェンス練習に、ユニット練習。

その後、登録メンバーを外れた3年生を中心とするメンバーで、試合を行った。

名目は『花園壮行試合』。決して、『引退試合』ではない。

「3年生にとっては、最後にファーストジャージーを着たのがいつか分からない選手がいます。ピッチに立つ選手は、試合に負けたらそれが最後。または勝って日本一、このどちらかしかありません。だけどそうではない3年生にとって、『俺の最後の試合、いつだっけな』となってしまう可能性がある。

試合に出ようとも出られなくても、3年間一生懸命頑張ってきたことに変わりはありません。どうにかそういう(ファーストジャージーを着て試合をする)場を作りたい、と思って土屋先生(國學院久我山監督)に相談しました」(竹内圭介監督)

結果は、なんと27-27の同点。

応援にも力の入る、何より勇気をもらう一戦となった。

竹内圭介監督 コメント

(組み合わせ抽選を終えて)練習試合をやらせて頂いている学校ばかりだな、という印象です。報徳学園さんと仙台育英さんとは、夏の菅平合宿時に。東海大大阪仰星さんとは、夏の関西遠征で対戦しています。

対戦相手が決まったので、選手たちにもスイッチが一段入ったな、という感じを受けています。

ーー花園での勝負ポイントは

ブレイクダウン制圧、ここに尽きます。ブレイクダウンを制圧できているのに負けたら、それは仕方がない。相手が上手い、ということです。一戦必勝。ディフェンスとブレイクダウンで、勝負していきます。

注目選手

キャプテンは石掛諒眞選手。センターやスタンドオフなど、意思決定を担うポジションを務める。

最後の仕留めで強力なのは、LOフィッシャー慶音選手にNo.8ロケティ・ブルースネオル選手。

阿部史門選手、ラトゥ・カヴェインガフォラウ選手の両フランカーが魅せるオールラウンダーぶりも、チームを大きく助ける。

9番・15番は国スポ準優勝メンバーでもある2年生たち。

SH渡邉幹太の順目アタックにFB中村理応選手のキック力は、武器となるだろう。


石掛キャプテン

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Bシード・國學院大學久我山高等学校

東京第2地区代表・(2大会ぶり44回目の出場)

國學院久我山では、全国大会に帯同する選手団数が、学校の規定で決まっている。

かつては全部員で花園へと向かっていた時期もあったが、部員数が増えた頃から上限を定めるように。

登録選手30名プラス、サポートメンバーを幾名か。そこにスタッフを加えた総勢45名前後が、國學院久我山として花園に向かう。

ゆえに3年生だとしてもこの選手団に入れない選手は出てくる。登録メンバー30人以外は、どうしても次世代への引き継ぎという観点から、下級生を選ばざるを得ないからだ。

「メンバーを決めるのが、1年間で一番しんどい仕事です」

土屋謙太郎監督は言った。

全国大会開幕前最後の週末に設けられた、目黒学院との壮行試合。

花園の登録メンバーから外れた11名の3年生が出場し、奮闘を見せた。

「引退試合、というイメージになることだけは嫌でした。だから壮行試合。久我山を代表して戦う、という意味も込めて、ファーストジャージーを着ています。目黒学院さんも我々もBシードなため、花園は2回戦から。だからこの試合が事実上の1回戦だね、って(笑)」

そしてもう一度、同じ言葉を繰り返した。

「久我山の将来のために、1・2年生を連れて行くことがここ何十年と続いています。もちろんできるならば、3年生を連れていきたい。でも勝負という観点から、感情的な部分は排除しないと。どうしても1年間で一番、しんどい仕事です」

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土屋謙太郎監督 コメント

ーー2回戦・3回戦ともに第3グラウンドでの試合です。ベスト8に入らなければ、第1グラウンドにはいけません

いま、芝の状態が一番良いのは第3グラウンドらしいので(笑)ポジティブに捉えて向かいます。

第3グラウンドはフラットでやりやすい会場。風も強いですが、良いシミュレーションもできました。

ーー逆山のBシードは大分東明です

もともと久我山はシードに入らない可能性が高いと思っていましたし、大分東明はAシードに上がってくるのではないか、とも思っていました。それぐらい力のあるチーム。チャレンジであることは間違いありません。

初戦・2回戦を勝ち進んでからの話にはなりますが、相手との比較の中で自分たちの強みはどこにあるのか、劣っているところをどうカバーしていこうか、と考え準備します。

また大分東明さんとAチーム同士が試合することは、練習試合含めこれが初めて。大きいし個々に力のある選手もいます。その対策をどうするか。まずはスクラムで勝負します。

齋藤航キャプテン コメント

花園に出られる有難さ、良い環境で準備をさせてもらえていることに感謝をして、一戦一戦を大事に戦っていきたいということはブレないようにしています。

大分東明さんとは1回も対戦したことがないので、難しい部分はあると思います。相手は九州王者ですが、久我山の強みをしっかりと体現したい。キックでエリアを押し上げて、前線でFWを戦わせてあげる『久我山らしいプレー』ができれば勝てると思っています。

久我山の強みを出すだけです。

注目選手

センターを務める齋藤航キャプテンと、ロックの森将太郎バイスキャプテンが牽引する今年の國學院久我山。

最大の魅力は、なんといってもスクラム。

圧倒的に強い1番・土屋裕資選手と2番・笠井大志選手がバランスを取り、國學院久我山随一の武器として携える。

スタンドオフには帰ってきた松下亮介選手。フルバックにも加藤竜朗選手が戻り、エリアマネジメントが大きく安定した。

WTB宮下隼選手はスタンドオフもできるが、タッチ際で存在感を増したら一層怖い。

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Bシード・中部大学春日丘高等学校

愛知県代表・12大会連続14回目の出場

1番・川島大虎キャプテンを筆頭に、今年もハルヒらしいチームが出来上がった。

主力には下級生が多い。

U17日本代表であり、U17中部ブロックのキャプテンも務めたLO三治蒼生選手はラインアウトのキーマン。

他にもスクラムハーフの荒木奨陽がU17日本代表経験を有するなど、先発メンバーの3分の2以上を下級生が占める。

それでも秋の国スポでは3年生がオール愛知として活躍し、ポジション奪還に期待は高まる。

下級生が多いゆえ、定めた今年のスローガンは『2年分の練習』。

その成果や、いかに。

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