第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会1回戦敗退から始まった、今季の東福岡。
全国高等学校ラグビーフットボール大会19大会連続ベスト8入りという偉業を達成し、1年間を終えた。
3回戦で茗溪学園に勝利し、準々決勝進出を決めた翌朝。
東福岡の面々は一つの部屋に集まり、長いミーティングをした。
準々決勝のテーマは『ヒガシであり続ける』こと。
そのためにはディフェンスで勝たなければならない、それこそが東福岡のラグビーのラグビーだと説いた。
確認事項は多かった。
準々決勝で対戦する相手は、藤田雄一郎監督が「花園での定期戦」と呼ぶ東海大大阪仰星。
最大の脅威は、ゲームメイクを担う相手スタンドオフ。多彩なオプションにどう対応すべきか、外に流れるアタックに対しバックスはどうやってディフェンスしたらいいのか。
ラインアウトではどこでプレッシャーを掛け、ボールを奪い返そうか。
策を練った。
だが、最たる懸念として挙げられたのは、今季1年間をとおして大きな課題となっていた『自分たちのミス』。
1本のパスミス、1ミリのゲイン、1つのコミュニケーション。
たった1つの隙が、勝負を分けると説いた。
「ヒガシのディフェンスが勝つか、仰星のアタックが勝つか」
強みで強みを消すゲームになる、と指揮官は語気を強めた。
1月3日。
12,000人が詰めかけた、東大阪市花園ラグビー場 第1グラウンド。
11:55に準々決勝の笛が鳴ると、先取点を取られた。
3点ではない。5点でも、7点でもない。
17点。
前半に3連続トライを許し、前半を0-17で折り返した。
圧倒するチームであるためには、先取点が大事だと分かっていた。
東海大大阪仰星は多彩なアタックを有するチームだと、肌身をもって理解もしていた。
だが風下だった前半はエリアを取れず、22m内でゲインを許し、50:22も決められる。
ラックを見極め、必要以上に人数を割くことなくそれぞれが体を張り仕事をしたディフェンス面でのポジティブな要素も多かったが、しかし矛盾の戦いは序盤から厳しい戦況に。
前半を終え、ベンチ前に戻ってきた選手たちの表情は晴れなかった。