3月27日(木)に行われた、第26回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会 準々決勝。
ディフェンディングチャンピオン・大阪桐蔭と、過去6度の優勝を誇る東福岡の一戦は、ラストワンプレーまでもつれた。
試合を制したのは東福岡。後半ロスタイムにサヨナラ逆転トライを決め、準決勝進出を果たした。
準々決勝 大阪桐蔭 17-24 東福岡
大阪桐蔭
試合を終えた13番・手崎颯志キャプテンの第一声を紹介したい。
「ナイスファイトやったと思います」
笑顔で、チームメイトを讃えた。
ランニングタイムで、後半32分を過ぎた時のこと。大阪桐蔭の選手たちから「あと30秒」の声が響いた。
17-17と同点ながら、あと30秒間ボールを守り切ったら、トライ数差で勝利となった大阪桐蔭。
「やり切るぞ」
手崎キャプテンは、それだけを仲間に伝えた。
自陣10mからのリスタート。ペナルティ再開の方法に、いくつかオプションがあった。
「スクラム行けるか?」とFWに問うと、答えは曖昧。ラインアウトには、少し不安があった。
だったら、タップでFW戦に挑もう。
「あと30秒。FWが『イケる』というので、信じてタップ&ゴーにしました」
手崎キャプテンは、判断理由を説明した。
だが、33分30秒過ぎ。レフリーは笛を吹き、東福岡陣の手を挙げる。
あといくつかのラックを耐え忍べば、ノータイムの声は掛かっただろう。
だが、そこから自陣22mでの相手ボールラインアウトを許すと被トライを浴びた。
準々決勝敗退。
目前で、勝利が零れ落ちた。
季節は春。
新チームが結成され、わずか2カ月半しか経っていない、若いチーム。
だからキャプテンは、仲間に「ナイスファイト」と伝えたい。
「できたばっかりのチーム。2か月半の練習で、ここまで来れたんは本当にすごいな、と思っています」
おれたちは、まだまだ。春はまだ、ここにいる。
「良い印をつけられました。ここを土台にして、レベルアップができる。良い経験ができたと思います」
本番は冬です、と気丈に語った。
◆
「残念でしたね。悔しかったです」
綾部正史監督は、その感情を包み隠さず明かした。
後半33分に取られたペナルティについては「あそこは、若いですね。『前出ろ』って言ったんですけど」と、新チームならではの難しさを口にする。
「強いですね、ほんと、ヒガシ。良いチームです。その相手と戦えた。十分だと思います」
物語は、序章が終わったばかりである。
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