9月13日に幕を開けた関東大学ラグビーリーグ戦1部。
10月25日(土)には川越運動公園陸上競技場で立正大学 対 東洋大学の一戦が行われ、東洋大学は26-16で開幕4連勝を飾った。
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「やっと、恩返しができました」
インタビューを終えると、目尻を下げ、優しい表情を浮かべた。
東洋大学3年、植松進之輔選手。
この日リーグ戦デビューを飾ったプロップは、初出場ながらフル出場を果たした。
「まさか80分出るとは思っていなかったです」と正直に笑ったが、このプレータイムこそが指揮官からの信頼の証だった。

埼玉県・昌平高校出身。高校時代は右プロップとして全国大会にも出場した経歴を持つ。
だがこの日託された背番号は1番。左プロップだった。
「1番になったのは、つい、このあいだです」
このあいだ、とは具体的に2週間前。
前週に行われたジュニア戦で急遽ルースヘッドプロップを務めることになり、1週間で猛特訓を積んだ。
さらに前を振り返れば、1年から2年の夏にかけては1番の練習をしていたこともある。だがその後3番に戻って以降は、高校時代同様、タイトヘッド専門だった。
「先週のジュニア戦で良いプレーができて、今日の先発につながりました。良い流れはあったので自信は持っていました。ただ、やっぱり緊張はありましたけど」と笑う。
緊張感と、自信と。良きバランスでファーストゲームを迎えた。

この日は雨中戦ということもあり、スクラムを組む回数も増えた。レフリーの手は様々な方向に上がったが、信念をもってスクラムと対峙した。
初めて袖を通した、鉄紺のファーストジャージー。
「今まで積み重ねてきた伝統を感じました。その一員になれた感覚もありました。ずっと目指していた舞台。そこに入れて嬉しかったです」
藍染のように重ねられた歴史に、自らの足跡を刻んだ瞬間だった。

もちろん課題も見えた。まずは何よりフィットネス。80分間の出場であってもバテない体力をつけたい。
そして「東洋の前に出るディフェンスをもっと体現できるようになりたい」と力を込める。
最後に、冒頭の言葉に戻ろう。
「やっと、恩返しができました」
これまでのラグビー人生で支えてくれた人々の顔を思い浮かべながら、次なる挑戦で、自らの色をさらに重ねていく覚悟を示した。
