「言っていい? めっちゃ楽しかった!」|第8回全国U18女子セブンズラグビーフットボール大会

第8回全国U18女子セブンズラグビーフットボール大会は、四日市メリノール学院の初優勝で幕を閉じた。

笑顔、涙、そしてそれぞれの想い。今大会もまた、三者三様の物語が繰り広げられた。

「言っていい? めっちゃ楽しかった!」

試合を終え、肩を組みながら仲間に声をかけていたのは、新潟県U18女子選抜の選手。

石見智翠館の選手たちは、すれ違うすべての人に「こんにちは」と明るい挨拶を欠かさなかった。

福岡ラグビーフットボールクラブの大内田彩月選手は、プレーひとつひとつでその非凡な存在感を示した。

「まだ2年生なんだよ、すごいよね」

大会運営にあたるスタッフとの雑談でも、彼女のプレーは話題にのぼった。

広告

優勝した四日市メリノール学院は、準決勝で試練を迎える。

7点のリードを得ていた後半8分、ボールを奪い返して外に蹴り出したものの、試合終了の笛は鳴らず。自陣で相手にラインアウトを与え、同点のトライとコンバージョンゴールを許す。勝敗の行方は抽選に委ねられた。

その抽選で決勝進出権を得ると、報を伝え聞いた保護者の目には涙が浮かんだ。ある保護者は選手たちのリカバリーを気遣い、近くの農園まで新鮮な果物を調達しに走ったという。


優勝メンバーのひとり、藤井音寧選手の兄は、明治大学No.8の藤井達哉選手。兄妹で、それぞれの高校3年時に「日本一」を成し遂げた

広告

閉会式で挨拶に立った、日本ラグビーフットボール協会副会長の浅見敬子氏はこう言葉をのこした。

「日本ラグビーフットボール協会として、2037年の女子ラグビーワールドカップ招致を目指しています。ぜひみなさん、選手だけでなく、スタッフもそうですけれども、これからもラグビーに関わり続けて頂ければと思います」

頂点に立った四日市メリノール学院の3年生たちは、実は高校を最後にラグビーから離れる決意をしていた者が多かった。

キャプテン・河内陽愛選手も、その一人。

だが、3年生になり、彼女の心はラグビー道に向かい始める。

「いま、辞められないな」

強くなった今だからこそ、前に進みたい。その気持ちが、将来設計に大きな影響を与えた。

ラグビーを愛する者たちが、それぞれの形で「好き」をつないでいくこと。

激しく、容赦のない競技でありながら、女子ラグビー界には深い絆と仲間意識がある。それが今大会中、グラウンドからは強く伝わった。

高校3年生にとっては、まさに高校生活の集大成となる最後の全国大会。その中で示された圧倒的なプレースキルには、より良い環境での活躍を願わずにはいられない。

現在、学校部活動は地域連携型・地域クラブ活動への移行が進んでいるが、女子ラグビーはすでに、学校部活動と地域クラブが混在するスタイルを取り入れている。

スポーツ庁の「部活動改革ポータルサイト」には、こんな一文がある。

『「地域の子供は、学校を含めた地域で育てる」という考えの下、既存の枠組みから抜け出して、新しい当たり前を作っていきませんか』

U18女子ラグビーがU18男子ラグビーから学ぶべきことはある。一方でU18女子ラグビーのいまの姿から学べることも、きっと多いはずだ。


熊谷ラグビー場Aグラウンドは芝の養生期間中。隣にあるBグラウンドで実施された

スポンサーリンク
広告