本日もラグビー場より、愛を込めて #2|&rugbyが花園で見た景色

熱戦が続いている、第105回全国高等学校ラグビーフットボール大会。

1回戦が終わった今、スコアや結果では語りきれない、そしてどうしても忘れたくない瞬間がいくつもある。

その中から、現地で取材をしているカメラマンとライターが選んだ”ワンシーン”を、写真とともに振り返りたい。

(りーこ/原田友莉子)

カメラマンが選んだワンシーン

『圧倒的強者へのチャレンジ』

今大会、第1グラウンドのオープニングマッチとなった、東海大学付属大阪仰星高校と坂出第一高校の一戦。

ファイナルスコアは137-0。

スコアだけ見れば東海大大阪仰星の圧勝だが、この試合を撮影していたカメラマンは言う。

「それぞれが試合終了まで全力でぶつかり合った、1回戦で最も印象的な試合だった」と。

どれだけトライを重ねられても、諦めない坂出第一。そして、決して手を抜くことのない東海大大阪仰星。

ファインダーを覗きながら「どちらのチームからも”凄み”を感じた」という。

その最たる場面が、東海大大阪仰星6番・米谷翔馬選手が116点目を追加した、後半25分のトライ。

自陣10m付近から坂出第一のディフェンスを容赦なくなぎ倒しながら掻き分け、そのまま独走。しかしトライラインまであと5mというところで、坂出第一22番・細川柑太選手がタックルを見舞う。

一度、倒れる。

それでも、終わらない。

倒れた米谷選手が、もう一度ボールを拾い上げ、しっかりと抱え込んでグラウンディング。

「坂出第一の誰1人として、諦めたり手を抜いたりしていなかった。一度、トライラインぎりぎりでタックルし倒しています。それでも東海大大阪仰星はそこで終わらせずに、もう一度ボールを拾い上げて取り切った。それも丁寧に抱えてのトライ。東海大大阪仰星は、片手でのトライやジャンピングトライを良しとしていなかった気がします。そしてこの時点でかなりの点差があるにも関わらず、坂出第一の選手たちがコンバージョンゴールへキックチャージに全力で向かう姿は胸熱でした」

東海大大阪仰星の21トライ全てが、腹ばいになってのトライ。ラグビーを愛する者の、ラグビーへの礼儀の表し方に心を打たれた。

独走トライを何本も阻止した坂出第一の選手たちの愛の表し方だって、誰にでもできることではない。

これぞ、ラグビー。

東海大大阪仰星高校さん、坂出第一高校さん、ありがとう。

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ライターが選んだワンシーン

『男らしく、強くあれ』

思わず涙がこぼれてしまったのは、名古屋高校の試合後の1枚。

名古屋高校のスローガンは『Play the man, be strong. ~男らしく、強くあれ』。

この言葉に初めて出会ったのは、まだコロナ禍真っ只中のサニックスワールドユース大会でのことだった。

以来、なんどか名古屋高校の試合を見た。菅平高原での練習にもおじゃました。

取材していた隣のグラウンドで名古屋高校が練習試合をしていたこともあった。網フェンス越しであっても、二木久義監督の熱量は伝わってきた。

男らしく、強くあれ。

どういう意味なのだろうか。

きっと名古屋高校でプレーする選手の数だけ、その正解があるのだと思う。

そして、この写真こそが正解のうちの一つ。

説明文はいらない。これを見たそれぞれの方に、それぞれの『Play the man, be strong. ~男らしく、強くあれ』を受け取って欲しい。

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終わりに

感動的なシーンを撮りたい。決定的瞬間を逃したくない。

ファインダーを覗いたことがある人なら、一度は抱いたことのある気持ちだと思う。

でも、こんなシーンを撮るために、シナリオなんていらない。

ラグビーがあればいい。

それも、全力を尽くし切った選手たちのラグビーがあれば、それだけで十分だ。

今日もまた、高校生たちに教えられた。

ありがとう。

2回戦以降も、こんなコラムを書けたらいいな、とは思う。

正直、どうなるかは分からない。花園の期間中は、毎日20時間くらいパソコンを見ている。

余裕が生まれたら。もし、誰かの「読みたい」があったなら。

第2弾、第3弾が、あるかもしれない。

・・・ないかもしれない。

それでも変わらず、選手たちの“愛”を探しに、ラグビー場へと向かう。

本日も、明日も。ラグビー場より、愛を込めて。

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