目指すは、自立できる協会
ーーそんな中で埼玉県協会は、2016年に一般社団法人化しました。なぜでしょうか。
増田「ラグビーワールドカップ2019(以下、ワールドカップ)の招致が決まったことが大きいですね。」
小泉「事務所を設けたのもその時です。それまで事務所らしい事務所はありませんでした。でも決してそれは埼玉に限ってのことではなく、多くの都道府県協会は理事長のいる学校や自宅が事務所となっているのが現状だと思います。ラグビーに携わる方たちは、とても献身的なんですよ。だけどいつまでも個人に頼るわけにはいかないので、ワールドカップを機にきちんと組織化しよう、となったわけです。」
ーーメリットは?
増田「JRFUと契約し、トップリーグなどの興行を行えるようになることが大きいですね。2017年以降、熊谷ラグビー場で行われたトップリーグのリーグ戦におけるパナソニック ワイルドナイツ戦はほとんど、JRFUから興行権を買い取って運営しています。ラグビー場周りでの飲食店やアクティビティ等を自由度高く行えたのは、そのためです。」
昨年のトップリーグカップでは、熊谷独自のイベント(両チームの選手と写真を撮れる「スクマム!フォト」)を行政と協力し実施。
ーー今年の4月に、事務局体制を一新しました。背景を教えてください。
増田「一言で言うと『アイディアを形にしていくため』です。埼玉県協会として、ラグビーの試合を開催・運営していればいいだけの時代は終わった。これからは自分たちで財源を確保して、収益を上げる。その収益から熊谷ラグビー場ならではの楽しさを生み出し、お客様には熊谷のファンになってもらう。それを埼玉県のラグビーに還元する。そんな好循環を生み出していくための試金石です。」
小泉「私自身もそうなのですが、実は現在の事務局員のほとんどが埼玉県や熊谷市、それに関係企業からの派遣・出向組です。あくまで独り立ちをするための応急処置状態なので、ノウハウを蓄積していずれは職員を雇える財政状況にしていくことが喫緊の課題です。」
増田「子どもがラグビーをすると、親は協力しますよね。学校でラグビー部に入っていたらラグビー部の先生が協力してくれる。そういういわゆる『協力してくれる内輪』で協会運営を完結させていたのが、ワールドカップ前までなんですね。それが、ワールドカップが大成功したおかげで協力者が増えた。だからこそ出来上がったこの事務局体制、行政がバックアップしてしてくれることは埼玉県の強みだと思います。」